2002 Fiscal Year Annual Research Report
エステルのアシルー酸素結合の触媒的切断を含む新しい変換反応
Project/Area Number |
02J05035
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
疊谷 嘉人 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | エステル / アシル-酸素結合切断 / ルテニウムカルボニル触媒 / ギ酸アンモニウム / 脱カルボニル化的還元反応 / ボロン酸エステル / カップリング反応 |
Research Abstract |
最近、炭素不活性結合の切断を含む触媒反応の開発が盛んである。当研究室においても、炭素-水素、炭素-フッ素、炭素-炭素結合の触媒的切断反応を報告している。そこで次の炭素不活性結合としてエステルのアシル炭素-酸素結合に着目し、この結合の切断反応の開発を試みた。その結果これまでに、ルテニウム触媒存在下、触媒に配位可能な置換基としてピリジン環を持つエステルとギ酸アンモニウム、あるいはボロン酸エステルを反応させるとそれぞれアルカン、ケトンが生成することを見出している。これらの反応は同一の中間体を経由していると考えているが、そこから一方では脱カルボニルが起こり、一方では起こらないという興味ある結果が得られている。平成14年度は反応機構の解明を目指し、以下の検討を行った。 1.基質の電子的効果の検討 ギ酸アンモニウムとの反応の場合、電子供与基を持つエステルの方が電子吸引基を持つエステルよりも高い収率で生成物が得られた。しかしボロン酸エステルとの反応では、電子吸引基がある基質ではカップリング生成物が得られるものの、電子供与基がある場合、ケトンは全く生成しない。 2.基質の立体的効果の検討 立体的にこみあったアダマンタンカルボン酸のエステルを基質とすると、ギ酸アンモニウムを反応させた場合、反応は進行しないが、ボロン酸エステルとの反応では、反応速度は遅くなるものの対応する生成物が得られる。
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Research Products
(1 results)