2003 Fiscal Year Annual Research Report
エステルのアシル-酸素結合の触媒的切断を含む新しい変換反応
Project/Area Number |
02J05035
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
疊谷 嘉人 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | エステル / アシル-酸素結合切断 / パラジウム触媒 / ボロン酸 / カップリング反応 / sp^2窒素 |
Research Abstract |
近年、エステルのアシル炭素-酸素結合を触媒的に切断する反応が、いくつか報告されている。この反応では、生成する中間体がアシル中間体であり、様々なカルボニル化合物の合成中間体として有用であると考えられる。更に、従来の方法により発生させたアシル中間体とは配位子が異なることから、これまでとは異なる反応性も期待できる。 現在までのところ、ルテニウム触媒存在下、ピリジルメチルエステルとギ酸アンモニウム、有機ホウ素化合物を反応させると、それぞれ炭化水素、ケトンが得られることを見出している。しかしいずれの場合も、120℃から160℃と高温が必要であり、有機合成反応としては決して行い易い反応とは言えない。 そこで今年度は、合成反応としてより有用な反応とすべく、再び基質の構造や触媒の検討を行った結果、炭素鎖を1つ短くしたピリジルエステルとボロン酸とを、パラジウム触媒存在下反応させると、ケトンが得られることを見出した。本反応は50℃と、温和な条件下、種々の置換基を損なうことなく高収率で進行する。また、類似の反応である酸無水物の反応では用いられていないアルキルホウ素化合物を用いることにより、アルキル基の導入も可能である。本反応では、ピリジンのsp^2窒素が触媒に配位することで、反応が促進されていることも明らかとなっている。ボロン酸の代わりに、ヒドロシランを用いると、アルデヒドも得られる。 以上のように今年度は、パラジウムを触媒とするエステルの新しい反応を見出し、これらの反応は、新しいアシルパラジウム種の発生法として有用であることを示した。
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Research Products
(1 results)