2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J05059
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森下 博文 大阪大学, 大学院・生命機能研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 神経科学 / 神経発生学 / 構造生物学 / 細胞接着因子 / カドヘリン |
Research Abstract |
脳の発達に関わる分子メカニズムの解明の切り口として、神経特異的発現を示す多様化新規カドヘリン型受容体CNRファミリーに着目し研究を行った。最終年度である本年は、脳の発達段階における成熟依存的な発現とその制御機構を明らかにしたと共に、本研究の最大の目標であった、同蛋白質の立体構造の決定に成功した。 1.脳の発達時のCNRファミリーの発現とその制御機構の解明 CNR/Pcdhαファミリーの発現解析を行った結果、大脳皮質においては、回路形成期に一致して、一過性に視床-皮質路、皮質遠心路の軸索,サブプレート神経細胞での発現を認めた。また全般的にCNR/Pcdhαは出生前後に主要軸索線維に強い局在を認めたものの、生後1週間後には軸索での発現は急激に減衰した。この減衰現象は、ミエリン関連蛋白質の発現上昇と対応していた。そこでミエリン不全シバラーマウスにおけるCNR/Pcdhαの発現を解析した所、視神経軸索においてCNR/Pcdhα蛋白質の減衰の遅れを認めたことから、ミエリン化がCNR/Pcdhα蛋白質の軸索からの減衰の誘因になっていることが明らかとなった。 2.CNRファミリー蛋白質の第一カドヘリンドメインの構造決定 CNRを含むプロトカドヘリンファミリーはカドヘリンスーパーファミリーにおいて最大のグループを形成する。これまでに古典的カドヘリンに関しては、その立体構造の決定により、接着能の発現に重要なN末端の第一カドヘリン(EC1)領域の詳細が明らかにされているが、プロトカドヘリンに関しては蛋白質の立体構造の報告がない。我々CNR/Pcdhα4-EC1蛋白質の立体構造の決定に成功した(PDB#1WUZ)。EC1領域は、全体としては古典的カドヘリンと同様のβシート構造をとっていたが、古典的カドヘリンにはみられないRGD, CXXXXXCといった特徴的なモチーフがループ領域に位置して分子表面に露出し機能部位となっている可能性が示唆された。
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Research Products
(4 results)