2002 Fiscal Year Annual Research Report
透明導電性物質である酸化亜鉛のP型伝導化および強磁性体化
Project/Area Number |
02J05074
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐伯 洋昌 大阪大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 希薄磁性半導体 / スピントロニクス |
Research Abstract |
透明導電性物質である酸化亜鉛中に遷移金属であるバナジウム(V)やコバルト(Co)を添加することによって強磁性的秩序が発現する可能性に関して研究をおこなった。これらの磁気秩序は酸化亜鉛中のキャリア量に依存するであろうことが吉田らによって予想されている。またキャリア制御の観点から、酸化亜鉛は酸素欠損によって電子ドープされることが知られている。本研究ではこの予測に基づき、Co-ドープおよびV-ドープ酸化亜鉛の薄膜をa面サファイア基板上にPLD法で作製し、還元雰囲気下において(N_21atm)アニールし、意図的に酸素欠損を導入することによって、キャリア量変化による磁性状態の変化をSQUIDによって検出することにした。その結果、Co15%ドープサンプルにおいて、もともと常磁性的であったサンプルが700℃での窒素中でのアニールによって強磁性体化することが確認された。一方でV15%ドープのサンプルでは600℃以上でのアニールによって常磁性から強磁性に変化することが確認された。以上の結果から、強磁性の起源がキャリア誘起であるという可能性を裏付けることが出来た。またこの強磁性がサンプル作製過程における不純物混入の可能性があることから、SIMS測定によってサンプル中の磁性イオンの含有量を調べた。その結果、最も多く含まれたFeイオンでも10^<17>cm^<-3>程度であり、そのモーメント量から磁性不純物が強磁性の起源であるという仮説を除くことが出来た。
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