2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J05103
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
坂下 健 大阪大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | CP非保存 / 中性K中間子 / エンジニアリングラン / 検出器とK_Lビームの理解 / K中間子の再構築 |
Research Abstract |
本研究では、今年度、高エネルギー加速器研究機構(KEK)にてKEK-PS E391a実験の準備を行なってきた。 本研究の目的は、標準理論におけるCP非保存のパラメータを測定することである。E391a実験では、中性K中間子の崩壊、K_L→π^0νν^^-崩壊の測定を目的にしている。K_L→π^0νν^^-崩壊の分岐比は、標準理論におけるCP非保存の大きさを決める小林・益川行列のパラメータηの2乗に比例している。従って、実験でこの崩壊分岐比を測定することで、標準理論におけるCP非保存の大きさを直接測定できる。 E391a実験では、今年度7月より本実験の主検出器であるCsIカロリメータの建設を行なってきた。私は、建設開始前までにデータ収集のための回路および周辺設備の設置を行ない、建設中にデータ収集のテストを行なって来た。 10月下句から12月中旬までの期間では中性K_Lビームと今年度設置した検出器を用いて実験を行なった。この実験の目的は、検出器とK_Lビームの性能評価と理解、およびデータ読みだし部分を含めた実験装置全体のチェックである。 まずデータ読みだし部分は、おおむね期待していた通りに動作した。ただ、E391a実験のために新しく製作した電子回路のチャンネルの一部にオフセットとノイズが現れる問題があった。実験終了後このモジュールの問題点と対策を検討し、既に改良の作業を進めている。 また、年末より実験データの解析を進めている。K_L粒子の崩壊からの粒子のアクセプタンスを見積もるために、検出器の配置を再現したモンテカルロシミュレータを開発し、疑似データの作成を行なった。このシミュレータの開発、および疑似データの作成には、本研究費で購入した計算機を主に利用した。これまでの解析より、今回設置した検出器で収集したデータからK_L→π^0π^0π^0、K_L→π^0π^0崩壊を再構築でき、きちんとK_Lビームが来ている事や検出器が動作していることも確認できた。 この結果は、3月末の日本物理学会で発表する予定である。
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