2003 Fiscal Year Annual Research Report
糖部をS型立体配座に固定した機能性核酸の創製とそれを用いた遺伝子発現制御法の確立
Project/Area Number |
02J05111
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
関口 光明 大阪大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ヌクレオシド / 糖部コンホメーション / Bridged Nucleic Acid / trans-3',4'-BNA / P3'→N5'ホスホロアミダート |
Research Abstract |
N型とS型の揺らぎを持つ核酸の糖部コンホメーションを固定することは、相補鎖核酸との結合親和性を向上させる手段の一つであり、これまで世界中で数多くの優れた核酸類縁体が開発されてきた。その多くは糖部をN型コンホメーションに固定したものであり、一方、S型コンホメーションを持つ有用な核酸類縁体の開発には至っていないのが現状である。本研究ではデゴイ核酸法へ応用を目指し、糖部をS型コンホメーションに固定した新規核酸類縁体の開発を行っており、今年度は以下に示す成果を上げた。 1.前年度、合成に成功したアラビノ骨格を持つtrans-3',4'-BNAチミンモノマーのオリゴヌクレオチドへの導入と物性評価を行った。リン酸結合部の修飾やカップリング反応条件等、種々検討した結果、DNA合成機によりオリゴヌクレオチドへ組み込むことに成功した。融解温度測定によるオリゴヌクレオチドの結合親和性の評価では天然オリゴヌクレオチドと比較して結合親和性が低下することが示された。これは2'位置換基と周辺残基との立体障害によるものと考えている。 2.1にて結合親和性の低下が観測されたことから、2'位無置換であるチミジンを出発物質に新規trans-3',4'-BNAモノマーを設計してその合成を検討した。ヌクレオシド3'位の立体選択的増炭反応および4'位の4級炭素化反応、その後の増炭反応を経て骨格構築に必要な炭素ユニットの導入に成功した。今後、閉環反応による骨格構築そしてオリゴヌクレオチドへの導入を行う予定である。 3.2の合成中間体を用いて、新たな骨格を有するS型核酸誘導体の合成に成功した。この誘導体はP3'→N5'ホスホロアミダート結合にてオリゴヌクレオチドへと導入することができ、物性評価の結果、相補鎖RNAおよびDNAに対して結合親和性が向上することが示された。これまでP3'→N5'ホスホロアミダート型オリゴヌクレオチドは、結合親和性が低下すると報告されていることからもこの誘導体は興味深い物性を有している。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] M.Sekiguchi: "Trans-3',4'-BNAs, novel nucleic acid analogues with an S-type conformation : synthesis and incorporation into oligonucleotides"Nucleic Acid Research Suppl.. 3. 111-112 (2003)