2002 Fiscal Year Annual Research Report
味覚学習における情動喚起性の研究-「獲得等価性・差異性」の現象を中心に-
Project/Area Number |
02J05176
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
澤 幸祐 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 味覚嫌悪学習 / 条件性風味選好 / 味覚刺激 / 表象 / ラット / スンクス |
Research Abstract |
本年度は、食塩欠乏処置によって食塩溶液の受容特性が蔗糖溶液などと同様に快に変化することを利用して、ラットの味覚嫌悪学習事態において蔗糖溶液と食塩欠乏状態においての食塩溶液が共通して喚起する快の情動を媒介して異なる風味間に獲得等価性が形成されるのか、またスンクスにおいて条件性風味選好の獲得が可能であるかどうかに関して検討した。 獲得等価性に関しては、通常の動因状態において風味Aと蔗糖溶液、風味Bと食塩溶液を対呈示した被験体に比べて食塩欠乏状態においてこうした対呈示を経験した被験体のほうが風味間で強い刺激般化を示す傾向が見られたが、統計的に有意な水準には至らなかった。今後は刺激濃度の変更やより敏感なテスト方法の検討など、この現象を確実に検証できる手続きをさらに模索していく予定である。 スンクスの条件性風味選好に関しては、空腹動因下において風味刺激と蔗糖溶液の対呈示を行うことで、風味刺激に対して統計的に有意な選好が形成された。こうした結果は、ラットにおいては過去に示されていたもののスンクスにおいては例がない。さらに、条件性風味選好の形成後に、USである蔗糖溶液の単独呈示を行ったところ、風味CSに対する選好の低下が確認された。この結果はスンクスが蔗糖溶液の喚起する表象に対して馴化を示したことを示唆する。スンクスに関してUS事後呈示効果が確認されたことはもとより、特定の味覚刺激に対して馴化が生じたことも実験的な報告はこれまでになされておらず、注目すべき結果であると考えられる。これらの結果はXIV Congress of the Spanish Society of Comparative Psychologyにおいて報告され、またInternational Journal of Comparative Psychology誌に投稿し、出版する予定である。
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