2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J05195
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
西島 太郎 名古屋大学, 文学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 室町幕府 / 在地領主 / 近江国 / 伊勢氏 |
Research Abstract |
本年は室町幕府権力機構の解明のための基礎的文献の調査と資料収集を行い、その過程で得られた知見を、論考「近江国湖西の在地領主と室町幕府」としてまとめた。そこでは幕府を支えた在地領主たちが、幕府の身分格式の形成と関わりながらどのように関係を構築してゆくのかを明らかにした。とくに政所執事伊勢氏の被官の全国的分布とその特徴を抽出し、被官となったものが15世紀半ばから簇生してきた土豪層であることを明らかにした。そしてそれまでほとんど検討されてこなかった外様衆という幕府内の身分について考察し、近江国湖西における在地領主たちが幕府の身分格式に規制されるなかで、上部(幕府や守護など)との関係を構築してゆくことを明らかにした。近江国湖西という地域に限定せざるを得なかったが、今後は全国的な傾向を明らかにしてゆきたい。また本年行った史料収集は、室町幕府やそれにかかわる在地領主、武家儀礼にかかわる資料や文献など、幅広く蒐集し、そのために東京大学史料編纂所や国立公文書館、宮内庁書寮部へ調査にでかけ資料の筆写・コピーを行った。これにより、来年度以降の幕府権力機構や権力構造の解明に寄与できるものと考える。 また現在投稿中であるが、戦国期に室町幕府将軍近習となった朽木氏の残した史料について「朽木文書について-その伝来、および現状と復元-」と題する論考を作成した。武家文書の伝来を中近世〜現代に至るまでの史料論として考察した。とくに移行期における武家文書のあり方についての知見が得られた。またそのための調査も行った。史料の伝来した朽木家へも度々訪問し、史料の現状などを調査し、写真撮影し、写真帳を作成した。
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Research Products
(1 results)