2003 Fiscal Year Annual Research Report
三次元有限要素法による日本列島の地震発生サイクルモデリング
Project/Area Number |
02J05261
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
水藤 尚 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 地殻変動 / 粘弾性不均質構造 / 沈み込み帯 / 有限要素法 / 余効変動 / プレート境界地震 / 粘性緩和 / アフタースリップ |
Research Abstract |
日本列島と同様な沈み込み帯であるアラスカ南部において、1998年ごろからスローイベントの発生が観測されている。スローイベントが観測されているこの領域は1964年アラスカ地震(Mw9.2)の震源域である。一方2001年東海沖においても東海地震の発生が危倶されている領域でスローイベントの発生が観測された。日本では大地震発生前にスローイベントが観測され、アラスカでは大地震発生後にスローイベントが観測されている。両地域における地殻変動を比較・検討することは,大地震発生サイクルにおいて,スローイベントの存在意義を明確にする重要な研究であると考えられる.そこでアラスカ南部の沈み込み帯と日本列島周辺での地殻変動の比較・検討を行うため、2002年10月から2003年10月までアメリカ合衆国アラスカ州フェアバンクスにあるGeophysical Institute, University of Alaska, Fairbanksに滞在し、アラスカ南部の沈み込み帯の地殻変動を理解するため、1964年アラスカ地震の地震時の変動およびその後の余効変動シミュレーションを行った。 1964年アラスカ地震後にKenai Peninsulaで観測されている隆起のうち、西部では粘性緩和により70-80%の隆起量が粘性緩和により説明できることが判明した。しかしながら中央および北部では粘性緩和による隆起は10%以下しか寄与していないことが分かった。さらに、1964年以降の検潮データによる時系列データと計算結果を比べることにより1964年アラスカ地震直後から数年間に引き続いて余効すべりが発生していた可能性が示唆された。この余効すべりの発生領域は、地震時よりも探い領域で発生したと考えられることも分かった。一方、近年のGPS測量から海溝から400kmほど離れた内陸において海溝方向の速度場が観測されているが、これらは1964年アラスカ地震の粘性緩和による余効変動で説明できることが判明した。
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Research Products
(1 results)