2004 Fiscal Year Annual Research Report
前庭刺激に対する脳の応答機構とその異常によるてんかん発症機構の解析
Project/Area Number |
02J05292
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
中川 幸則 藤田保健衛生大学, 総合医科学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | ELマウス / ASKマウス / 前庭刺激 / てんかん |
Research Abstract |
てんかんは外部刺激がけいれん発作を誘発するものが多い。本研究で用いたてんかんモデル動物であるELマウスでは体位変換刺激(前庭刺激)により、けいれん発作を起こすようになる。しかし、このような外部刺激の意味は全く不明であった。筆者は前庭刺激に対する脳の応答機構とその異常性を明らかにするため、ELマウスとこのマウスから突然変異によりてんかん耐性を獲得したASKマウスを用いてPCRサブトラクション法を行い、前庭刺激の有無により脳における遺伝子発現の差を調べた。その結果、約1000個の候補遺伝子をスクリーニングした。DNAシークエンスの後、カスタムマイクロアレイを作成してこれらの候補遺伝子のマイクロアレイ解析を行った。これまでにそれらの中から、GABA受容体と関連のあるGABA receptor associated protein(Gabarap)、神経伝達物質の放出機構に関わっているNSFや網膜機能の維持に働くと考えられているSecreted acidic cysteine rich glycoprotein(Sparc)等の発現量がASKマウスに比べてELマウスにおいて著しく高いということがわかった。 また、ASKマウスにおいてに血中のヒスタミン量がELマウスよりも多いということが知られている。そこで筆者はELマウスの脳におけるヒスタミン量の測定およびヒスタミンの合成酵素、分解酵素、受容体についてノーザン解析、さらにアンタゴニストや阻害剤を用いた場合の前庭刺激によるけいれん発作の誘発の頻度を調べることにより、ELマウスにおいてもヒスタミン量が増加する方向に向けるとけいれん発作の発症時期を遅らせることができることを突き止めた。これらの結果をまとめ、Mol.Brain Research誌に報告した。
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Research Products
(1 results)