2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J05296
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田中 裕也 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 解糖系 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
大腸菌グルコース輸送タンパク質IICBGlcは、グルコース輸送に伴い脱リン酸化した状態で転写制御因子Mlcに直接結合し、これを不活性化させる。我々はIICBGlc-Mlc相互作用がどのようにしてMlcの不活性化につながるかそのメカニズムの解明をめざし、研究をつづけている。 今年度の研究で以下の知見が得られた。 Mlc遺伝子内にPCRによるランダム変異を導入し、グルコース非応答型の変異体をスクリーニングした。得られた変異型Mlcには発現量が上昇しIICBGlcによる制御からはずれたものと、IICBGlcとの結合が弱くなったものの2種類が存在した。後者の変異部位を決定したところMlcタンパクのN端側にアミノ酸置換が存在した。このことからMlcのN端側にはIICBGlcと結合する部位があることが示唆された。 IICBGlcによるMlcの活性阻害作用機構には大きく分けて2つの可能性がある。一つは結合によるMlcのアロステリックな構造変化でオペレーターに結合できなくなるというものであり、もう一つは膜にMlcを局在させることでMlcが膜との作用などにより不活性化するというものである。後者について、MlcあるいはIICBGlcの細胞質ドメインIIBドメインを、膜タンパク質ラクトースパーメアーゼLacYに融合したタンパク質を作成し、その活性を調べその可能性を追究した。その結果MlcをLacY-IIBを介し間接的に局在させたときに活性は低下した。またMlcに直接LacYを融合させ膜に局在させたときもMlcの活性はみられなかった。細胞質タンパクであるCRPでは不活性化は見られなかった。このMlcの不活性化はLacY膜貫通ヘリックスの一部で充分であり、膜貫通ヘリックスにフレームシフト変異を入れ細胞質に局在させるとMlcは通常どおり機能した。 これらの結果はMlcの膜への局在が活性阻害に重要であることを示していると思われる。
|
Research Products
(1 results)