2002 Fiscal Year Annual Research Report
イネGA情報伝達系制御因子SLR1によるGA情報伝達機構の解析
Project/Area Number |
02J05307
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
伊藤 博紀 名古屋大学, 生物分子応答研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | GA / 情報伝達 / SLR1 / イネ |
Research Abstract |
すでに申請者は、イネのジベレリン(GA)情報伝達に携わる抑制因子SLR1タンパク質の解析を通して、このタンパク質はGAシグナルの無い状態では核に局在しGAに対する植物体の応答を抑制しているが、GAシグナルが伝達されると速やかにSLR1タンパク質は分解され、GAの反応が誘導されるということを明らかにしている。 本年度は、このSLR1タンパク質がGAシグナルによってどのような機構で核から分解されていくのかを明らかにすることを試みた。今回、当研究室で新たに単離・同定されたgid2変異体は、GAシグナルの有無にかかわらずSLR1タンパク質が異常に蓄積しているためにGA非感受型矮性を示す。このことから、gid2変異体はSLR1タンパク質を分解できなくなってしまった変異体であると推測した。GID2遺伝子はF-boxと呼ばれる特徴的な構造を有した新規タンパク質をコードしており、このF-boxタンパク質は、高等生物においてユビキチン依存的なタンパク質分解を受ける分解ターゲットにユビキチンを付加するために機能するユビキチンリガーゼのサブユニットの1つである。実際に、SLR1タンパク質はGA処理後にユビキチン化が促進されるが、gid2変異体ではユビキチン化は起こらなかった。このことは、GA処理後にSLR1タンパク質はユビキチン化を受け即座に分解されることを示唆している。 さらに、このgid2変異体においてSLR1タンパク質はリン酸化を受けていた。そして、SLR1タンパク質のリン酸化はGA処理によって促進された。このことからSLR1タンパク質に伝達されるGAシグナルの実体がリン酸化である可能性が考えられる。今後はSLR1タンパク質のリン酸化部位の同定を試みる予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Akie Sasaki: "Accumulation of Phosphorylated Repressor for Gibberellin Signaling in an F-box Mutant"SCIENCE. March Issue. (2003)
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[Publications] 伊藤博紀: "ジベレリンの情報伝達"蛋白質 核酸 酵素. 47・12. 1676-1681 (2002)