2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J05413
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
安 祺 名古屋大学, 環境学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 経済成長 / 地域格差 / 空間的二重構造 / 有限な資源 / 環境の質 / 「環境考慮型」ビジネスモデル / 環境負荷低減財 / 汚染集約財 |
Research Abstract |
地域格差是正と資源・環境保全を併せ実現する経済成長が、発展度の異なる地域を有する国々、とりわけ発展途上国にとって、現実的な意義を持っている。本研究は、一国が発展度の異なる地域から構成されるという枠組みと、資源・環境容量の有限性から「有限な資源」の2点を想定し、「均衡的・持続的成長」経済システムの形成にあたり、「一般財と環境負荷低減財の2部門モデル」に対して政府管理に内包されたメカニズムを明白することを目的に、理論研究及び、現地調査、実証研究に分けて進めてきます。 理論研究:(1)収穫逓増技術の持つ生産関数に「有限な資源」を加え、「1部門内生的成長モデル」の構築を試みた。(2)「有限な資源」の枠組み内に、社会・経済活動による環境負荷を吸収・低減し、自然環境に再生機能を与える「環境の質」を取り入れ、「1部門モデル」を汚染集約型一般財生産部門と環境負荷低減財(技術R&D)生産部門の「2部門モデル」に拡張した。(3)「環境の質」の悪化、また、市場に経済的外部性が生じる場合、政府管理のメカニズムがどう機能するか、民間投資の部門間移動を分析した。 ケース・スタディ:中国に発展度と「環境の質」の異なる沿海・内陸6地域11都市で現地調査し、行政機関及び、大学、企業訪問に基づき、環境関連政策・企業対策の経済的評価を進めてきた。日本国内の北九州市など4都市考察を通じて、「都市再生・再開発」と「環境考慮型」ビジネスモデル、環境産業・市場の形成を検討し、「持続可能な」地域システムのあり方を含む研究分野の拡大に有意な認識を得た。 実証研究:1978-2001年間中国30省と35都市のパネルデータ・ベースを整備、(1)地域(省)レベルにおいて地域固定変数を取り込んだ条件付「収束」を検証し、地域はその成長過程がそれぞれの初期状態、生産諸要素の地域間移動、行政や「地域・産業政策等の興味深い特性を持つことから、一様に進展するわけでないことを検証、所得水準が最終的に同一水準に収斂する地域とそうでない地域の区別に成功した。(2)都市産業・経済構造の変化、とりわけ、産業集積を通じて生産機能や空間機能を変えていく「空間的二重構造の変動」の複合化が、都市経済力、行政機能、企業活動、インフラ整備、国際化、研究開発と人的資源などを中心に実証された。
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