2002 Fiscal Year Annual Research Report
キラルプロトン酸触媒のデザインと効率的反応への応用
Project/Area Number |
02J05415
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中台 正和 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | アミノ酸 / 光学活性アミン / ジアミン / プロトン酸 / 不斉アルドール反応 / 脱水体 |
Research Abstract |
不斉触媒を用いるエナンチオ選択的な反応は、有機合成化学の分野において現在なお活発に開発が行われている重要な研究領域の一つである。しかし、これまで開発されてきた反応剤は金属をその活性中心に持つものがほとんどである.これに対し私は金属のかわりにプロトン酸を活性中心に持つ不斉触媒を開発し、触媒的混合型交差アルドール反応への応用に成功した。この新しい試みの展望と限界を見極めるためこれまでに開発してきたジアミン-プロトン酸触媒に関して基礎的な研究を行った。 具体的には、アミノ酸より誘導した15種類のジアミンとプロトン酸から調整したキラルプロトン酸触媒の反応性と選択性を不斉アルドール反応を用いて評価した。その結果2級-3級のジアミンを用いた場合高い反応性が得られたが副生成物である脱水体の生成が問題となった。一方、副生成物の抑制という観点では1級-3級のジアミン構造が効果的であった。この知見をもとに1級-3級のジアミンに関して更なる改良を行った。この際、基本骨格にアミノ酸以外の光学括性アミンを用いることで構造に多様性をもたせた。各々異なる嵩高さや不斉炭素を持つ5種類ジアミンを合成し先程と同様の反応を行うことで反応性と選択性の比較を行った。予想通り全てのジアミンで脱水体の生成は抑えられた。3級アミン部分が嵩高い場合反応性の低下を伴うもののエナンチオ選択性の向上が見られた。また、1級アミンの付け根に不斉炭素がないジアミンを用いた場合著しい選択性の低下が見られた。これより、この位置の不斉炭素が選択性に大きな影響を与えると考えられる。 今後はこれら基礎的な実験結果を踏まえてジアミンとプロトン酸の組み合わせにとどまらず非共有電子対を持つ全てのヘテロ元素をプロトン酸の配位子として用いた触媒の開発を行いジアミン配位子との反応性と選択性の違いについて研究を行う。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] M.Nakadai, S.Saito, H.Yamamoto: "Diversity-based strategy for discovery of environmentally benign organocatalyst : diamine-protonic acid catalysts for asymmetric direct aldol reaction"Tetrahedron. 58・41. 8167-8177 (2002)