2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J05426
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
加藤 治人 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | MRI / 金属内包フラーレン / 水溶性誘導体 / プロトン暖和能 / 再配向相関時間 / フラレノール / マロン酸 / ピロリジニウム塩 |
Research Abstract |
本研究では今までGd@C_82(ガドリニウム内包C_<82>フラーレン)から水溶性の水酸基付加体Gd@C_<82>フラレノールを合成し、高いプロトン緩和能を持つことを発見した。Gd@C_<82>フラレノールの分子の再配向相関時間は遅く、そのため双極子相互作用の寄与が大きくなることでプロトン緩和能が高くなることを解明した。本研究は新たにGd@C_<82>の水溶性誘導体としてマロン酸、そして四級アンモニウム塩の骨格を持ったピロリジニウム塩が付加した誘導体を合成した。マロン酸とピロリジニウム塩の中間体であるマロン酸エステルとピロリヂン付加体の質量スペクトルからこれらはGd@C_<82>に最大で8付加することがわかった。さらにこれらの水溶性誘導体もフラレノールと同様にプロトン緩和能を測定した。マロン酸誘導体とピロリジニウム塩誘導体のプロトン緩和能はフラレノールのように著しいプロトン緩和能を示さなかった。プロトン緩和能の共鳴周波数と温度依存性からマロン酸とピロリジニウム塩の分子の再配向相関時間はフラレノールより早いことがわかった。ファンデルワールス半径から計算した分子の再配向相関時間はマロン酸とピロリジニウム塩はフラレノールより遅くプロトン緩和能から明らかになった分子の再配向相関時間と矛盾する。フラレノールは水酸基を多く持っているので非常に高い水溶性をもっており、周りの水分子を伴って運動をする。一方でマロン酸誘導体と四級アンモニウム塩誘導体は親水基の数が少なくその分子のみで運動をする。フラレノールのこの周りの水分子を伴った運動が分子の再配向相関時間を遅くして双極子相互作用が大きくなりフラレノールが高いプロトン緩和能をもつことを解明した。
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Research Products
(1 results)