2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J05480
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
崎山 潤一 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 器官形成 / 肺 / ニワトリ / Hox遺伝子 |
Research Abstract |
肺の原基である肺芽が、消化管前腸の前後軸・背腹軸上の決まった位置から形成される機構に注目して研究した結果、ホメオボックス転写因子をコードするHox遺伝子群の1つHoxb-6が、上記の機構を制御する因子の候補として同定された。詳細な発現パターン解析から、Hoxb-6は、ニワトリ胚消化管前腸の内臓性中胚葉において前後・背腹軸に沿って領域特異的に発現することを明らかにした。内臓性中胚葉におけるHoxb-6の前方発現境界は、将来一次気管支が突出する位置に一致した。電気穿孔法によるHoxb-6異所的強制発現で、内臓性中胚葉でのHoxb-6の前方発現境界を人為的に前方へシフトさせた結果、Hoxb-6の人為的な前方発現境界が存在する位置で一次気管支が突出した。これとは逆に、Hoxb-6 mRNAに対するアンチセンスモルフォリーノオリゴ(Hoxb-6 MO)を導入して内在Hoxb-6タンパク合成を阻害すると、Hoxb-6タンパク発現領域の前方境界は後方・背側へと人為的にシフトし、これに対応する形で一次気管支の位置も後方・背側へとシフトした。したがって、前腸内臓性中胚葉におけるHoxb-6の前方発現境界は、一次気管支が突出する位置、すなわち肺芽の位置を指定する。Hoxb-6による一次気管支の位置指定の機構に注目して更に解析した結果、Hoxb-6の前方発現境界周囲で一次気管支形成に必須な分泌因子Fef10の発現が限局されることを見出した。Hoxb-6異所的強制発現胚やHoxb-6 MO導入胚では、人為的に前方および後方にシフトしたHoxb-6前方発現境界周囲でFgf10発現領域の限局が観察された。更に、Hoxb-6の発現制御下にある因子として、前腸内臓性中胚葉でHoxb-6と排他的な発現を示すEphA4を同定した。野生型およびキナーゼ欠損型EphA4強制発現による機能解析から、EphA4はFgf10の発現限局に関わることを示唆する結果を得た。以上の結果から、Hoxb-6前方発現境界→EphA4による境界確立→Fgf10発現限局という機構により肺芽の位置が決定すると考えれた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 崎山 潤一, 黒岩 厚: "「ニワトリ胚発生過程においてTbx4-Fgf10システムは肺芽形成を制御する」細胞工学12月号"秀潤社. 7 (2003)
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[Publications] 崎山 潤一, 黒岩 厚: "「呼吸器系形成」わかる実験医学シリーズ・発生生物学がわかる"羊土社. 7 (2004)