2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J05482
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
多々内 智史 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員DC2
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Keywords | 出芽酵母 / 非対称分裂 / 翻訳制御 / HO / ASH1 / KHD1 / mRNA局在 / 細胞極性 |
Research Abstract |
出芽酵母は非対称分裂により、接合型変換と呼ばれる一種の性転喚を起こす母細胞と、起こさない娘細胞を生じる。これは接合型変換を触媒するHOエンドヌクレアーゼをコードするHO遺伝子が、母細胞でのみ発現し、娘細胞では発現しないからである。HO遺伝子の母細胞特異的な発現を制御するのが、HOの転写を抑制するリプレッサーAsh1である。野生型株ではリプレッサーAsh1が娘細胞特異的に局在する結果、母細胞でのみHO遺伝子は発現する。Ash1タンパク質の娘細胞への局在は、ASH1 mRNAが細胞分裂時に母細胞から娘細胞の先端へと輸送され、その後ASH1 mRNAの輸送が完了したのちにだけASH1 mRNAが翻訳されることにより、制御されていると考えられている。ASH1 mRNAの輸送機構そのものについてはこれまでの研究により明らかにされつつあるが、その他の機構、例えば輸送中のASH1 mRNAの翻訳を抑制するための機構などについては未だ明らかにされていなかった。 本研究において私は、輸送中のASH1 mRNAの翻訳を制御する新たな因子としてKhd1を同定した。Khd1はKH RNA結合ドメインを持つが、これまでその機能については明らかにされていなかった。本研究により、Khd1は細胞内でASH1 mRNAと共局在すること、また細胞内でASH1 mRNAと結合していることが生化学的に確認された。さらにKHD1を多量発現することでASH1 mRNAの翻訳が抑制されることが明らかになった。またKHD1の多量発現によりASH1 mRNAの翻訳を抑制すると、ASH1 mRNAの娘細胞先端への局在の効率の低下が見られた。以上の結果から、Khd1は輸送中のASH1 mRNA翻訳の抑制を行う因子であること、また輸送中のASH1 mRNAの翻訳の制御が、ASH1 mRNAの娘細胞先端への局在に重要な役割を果たすことが示唆された。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Kenji Irie: "The, Khd1 protein, which has three KH RNA-binding motif, is required for proper localization of ASH1 mRNA in yeast"The EMBO Journal. Vol.21 No.5. 1158-1167 (2002)