2002 Fiscal Year Annual Research Report
小胞体内のタンパク質品質管理におけるマンノース修飾の役割
Project/Area Number |
02J05491
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中務 邦雄 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 真核生物 / 小胞体 / タンパク質 / 品質管理機構 / マンノース / 糖鎖 |
Research Abstract |
小胞体にはタンパク質の品質管理機構が存在し、分子シャペロンがタンパク質の正しいフォールディングを促進する一方で、最終的にミスフォールドしたタンパク質は、分解、除去される(ERAD ; Endoplasmic Reticulum Associated protein Degradation)。ミスフォールドしたタンパク質が小胞体内に蓄積すると、UPR(unfolded Protein Response)が誘導され、シャペロン、分解系遺伝子の発現が上昇し、小胞体のフォールディングキャパシティーが増大する。 我々はin vitro ERADアッセイ系を用いた実験で、分解基質としてN型糖鎖付加部位を様々に改変した酵母pαFの変異体シリーズを用いた。その結果、N型糖鎖を0または1つしか持たない変異体(野生型は3つ)が選択的にOマンノシル化されることを見出した。これらの変異体は、ミクロソーム内ではオリゴマーを形成しており、hSP70システムが欠損すると凝集した。Oマンノシル化された基質は可溶化されており、hsp70システムが欠損しても凝集しなかった。つまり、凝集しやすい状態にある基質が小胞体内に留まると、Oマンノシル化を受け可溶化されることが明らかとなった。一般性を検討するため、国立遺伝学研究所、梅林恭平博士との共同研究によって、糸状菌由来のプロテアーゼ(RNAP-I)について調べた。このタンパク質のpro配列が欠失した変異体、Δproは細胞外へ輸送されず、小胞体に留まり分解される。ERAD関連遺伝子の変異株中で、Δproの分解は抑制されOマンノシル化を受けた。修飾を受けたΔproも可溶化されていた。Oマンノシル化されたpαFとΔproは細胞外へ分泌されることも明らかとなった。 以上の結果から、Oマンノシル化は、変性タンパク質が蓄積することによっておこるストレスから細胞を守る役割をもつことが示唆された。 これらの結果は、第55回日本細胞生物学会大会、第75回日本生化学会大会、第42回アメリカ細胞生物学会において発表した。
|