2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J05554
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
伊藤 雅典 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 銅酸化物高温超伝導体 / 中性子散乱 / 磁気励起 |
Research Abstract |
"ストライプ"と呼ばれる電荷秩序(磁気秩序を伴う)はLa214系で超伝導を抑制する。この秩序が銅酸化物に共通なものかどうか、さらには超伝導発現に積極的役割を担うかどうかを明らかにするために、種々の研究が行われてきた。我々は、磁気励起スペクトルχ"(q,ω)から、"ストライプ"が静的および動的物理量にどのような影響を与えるかを調べ、その効果がLa214系以外の系にも見られるかどうかを研究してきた。 我々は以前より"ストライプ"を考慮せずに、YBa_2Cu_3O_y(YBCO)系のχ"(q,ω)を理解できないかどうかを調べてきた。Effective bandから計算されるχ_0(q,ω)と、電子間の交換相互作用(J_q)とで表された一般化帯磁率χ(q,ω)=χ_0(q,ω)/(1+J_qχ_0(q,ω))の表式を用いて、少なくとも25meVまでの実験データを説明できることを示した。そのときに準粒子のbroadening(Γ)として他の実験で得られているような大きな値を用いた。YBCO系のχ"(q,ω)を理解するには、準粒子のbroadeningが重要であり、"ストライプ"は必要ないようである。 次に、静的"ストライプ"が69K(=Te)以下の温度で生じるLa_<1.48>Nd_<0.4>Sr_<0.12>CuO_4のχ"(q,ω)を測定し、YBCOと同様の手法で解析を行った。incommensurability(δ)の実験値がT_e以下で、ストライプの周期に対応する値(^〜0.118r.l.u.)に落ち着くのに対し、"ストライプ"を考慮しない計算ではδが降温に伴い増加し続ける。また、T_e以上の温度では、実験で観測されるようなsharpなincommensurate peakは小さなΓを用いても再現されそうにない。電子系が正孔の多い部分と、正孔が少なく、反強磁性相関が強くなった部分に分かれ(たとえばゆっくりした"ストライプ"ゆらぎの形成がおこり)、そのなかの反強磁性相関の大きい部分の寄与が観測されているために、実験でsharpなincommensurate peakが観測されると我々は考えている。また、線幅はT_eよりはるかに高い温度から広い温度領域でなだらかに減少しており、"ストライプ"はT_eより高い温度から徐々に成長するようである。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Masafumi Ito: "Neutron scattering studies on in-plane longitudinal phonons of YBa_2Cu_3O_4"Physica C. in April. (2003)
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[Publications] Masatoshi Sato: "Comparative study on the magnetic excitation spectra of Y123 and La214 high-Tc systems-are the dynamical stripes important?"Physica B. in April. (2003)