2004 Fiscal Year Annual Research Report
乳腺:細胞増殖・分化と器官形成の制御機構の解明とタンパク質生産への応用
Project/Area Number |
02J05604
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
青山 康二 名古屋大学, 生命農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 乳腺上皮細胞 / 乳腺初代培養細胞 / 乳腺上皮組織幹細胞 / 細胞分化 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
乳腺は、哺乳動物の性成熟過程に伴って発達し、妊娠、分娩を期に最終分化を遂げて形態・機能が変化する。この分化過程を制御するシグナル伝達機構について多くの研究が培養細胞を用いて行われているが、生体内での詳細な分子機構には不明な点が多い。さらに遺伝子導入動物を用いた解析が必須となってきているが、要する時間、コスト、労力を考慮すると簡便な実験系とは言えない。本研究では、形質転換した培養乳腺上皮細胞をマウスに移植して乳腺を再構築させ、これをin vivoアッセイ系として用いて、タンパク質のリン酸化・脱リン酸化を中心にした乳腺細胞の分化・増殖制御機構を解析し、乳腺の器官形成と機能分化の分子機構を解明することを目的とした。 本年度においては、細胞株の移植によって形成された形質転換乳腺をin vivoアッセイシステムとして確立することを目指した。具体的には、移植細胞の生着効率が高い移植方法の確立を目指して組織化学的手法により検討を重ね、SV40-largeT抗原により株化した乳腺組織由来の初代培養細胞を、乳腺を切除した乳児マウスの乳腺脂肪組織に移植することで、in vivoにおいて乳腺が再構築されることを確認した。さらに、乳腺におけるシグナル伝達分子の生理機能探索を目的として、乳タンパク質の1つβカゼインの発現を制御するホスファターゼ、PTP1B、SHP2およびTCPTPのレトロウィルス発現ベクターを構築した。現在は、これらの分子を株化した初代培養細胞に導入し、ピューロマイシンにより各遺伝子を安定に発現する細胞株を選択している。本課題は今年度で終了するため、今後の研究は他の大学院生に引き継がれ、樹立した細胞株をマウスに移植することにより再構成させた形質転換乳腺の形態や乳汁合成・分泌・機能などを分子生物学的・細胞生物学的・免疫組織化学的手法により解析する計画である。
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