2004 Fiscal Year Annual Research Report
液胞膜の輸送体タンパク質の特定と果実液胞への物質蓄積での役割
Project/Area Number |
02J05633
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
気多 澄江 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 糖輸送体 / セイヨウナシ / バラ科果樹 / 液胞 |
Research Abstract |
果実において糖は品質を左右する要因である。糖は主に細胞内の液胞に蓄積される。濃度勾配に逆らって液胞へ糖を高濃度に蓄積するには、液胞膜に存在する糖輸送体の働きが重要であるが、まだ分子の特定には至っていない。近年、植物では初めて液胞膜局在のミオイノシトール(糖アルコール)輸送体ホモログが単離された(Chauhan, et al.,2000)。本研究では果実における液胞膜の糖輸送体の特定を目指し、この配列をもとにセイヨウナシ果実からホモログ全長cDNA(PcITR1)を単離した。PcITR1は糖輸送体に特徴的な構造を持つが、ミオイノシトール輸送体ホモログと最も相同性が高かった。PcITR1の細胞内局在を明らかにするために、PcITR1とGFPの融合タンパク質を35Sプロモーターを用いシロイヌナズナの培養細胞で一過的に発現させた。その結果、予想とは反し液胞膜ではなく細胞膜に融合タンパク質の蛍光を確認した。またPcITR1の糖輸送活性を調べるために、酵母を用いた異種発現系での機能解析を試みた。PcITR1のタンパク質コード領域を発現ベクターに組み込み、出芽酵母に導入し発現誘導させたが、明確な糖輸送活性は検出できなかった。さらにmRNAの発現部位を調べるために半定量的RT-PCRを行ったところ、PcITR1は花、種子および果実で発現が高く、葉では発現が低いことが明らかとなった。
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