2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J05661
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小島 宏章 名古屋大学, 環境学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 高密度常時微動計測 / 強震観測 / 中低層建物 / 固有振動数 / 減衰定数 / モード間カップリング / FEM解析 / データベース |
Research Abstract |
名古屋大学東山キャンパス内に存在するほぼ同規模で構造種別,構造形式の異なる2棟の10階建て建物(S造建物とSRC造建物)を対象として,高密度常時微動計測と強震観測を行った。得られた実測記録の分析からS造建物は張間,桁行,ねじれの固有振動数が近接しており,減衰が小さいなども影響して張間と桁行の振動が連成して生じるモード間カップリングが地震記録にも現れていた。この現象は長周期成分を多く含む地震動で大きく励起されることも実測記録から明らかとなった。したがって,建物の地震応答を考える際には,地震動強さの他に,周期と減衰を考慮することが極めて重要であることが分かった。また,低減衰の建物においては継続時間を考慮することも重要と分かった。 S造建物とSRC造建物について立体フレームモデルによる固有値解析を行い,解析値と実測値を比較した。その結果,二次部材が少ないS造建物では二つの値は良い対応を示したが,SRC造建物は解析値が実測値に比べかなり低い固有振動数を示した。この差の原因として,SRC造建物の外周部に存在する腰壁と袖壁を有するフレームが考えられる。この様な壁は通常の解析では無視されるが,これらがフレーム剛性に及ぼす影響をFEM解析で検討した結果,腰壁と袖壁と有するフレームは,純フレームに比べ約2倍の剛性を有していることが分かった。これを考慮して再度,SRC造建物の立体フレーム解析を行ったところ,解析値を実測値は概ね良い対応を示した。 建物の強震観測記録の公開と共有化は,従来よりその重要性と必要性が指摘されているものの,様々な要因から実現されていないのが現状である。そこで,名古屋大学東山キャンパス内の複数の中低層建物で行っている強震観測事例を対象として,データベース化とweb公開を行った。これを参考に今後,民間の所有する建物における強震観測記録の公開と共有化が望まれる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 小島宏章: "建物強震観測記録のデータベース化と公開"日本建築学会東海支部研究報告集. 177-180 (2003)
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[Publications] 小島宏章: "振動実測と解析に基づくS造及びSRC造10階建て建物の振動特性評価"第11回日本地震工学ジンポジウム. NO.249(CD-ROM). (2002)
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[Publications] 小島宏章: "実測記録に基づくS造10階建て建物の応答性状"日本建築学会大会学術講演梗概集. B-2. 291-292 (2002)