2004 Fiscal Year Annual Research Report
波長可変超短パルス光の広帯域化とその応用に関する研究
Project/Area Number |
02J05664
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
堀 喬 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員-DC1
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Keywords | 超短パルスレーザ / 光ファイバ / スーパーコンティニューム光 / 光ソリトン / パルス圧縮 |
Research Abstract |
超短パルスレーザと光ファイバの組み合わせは、これまでにない劇的な非線形現象を引き起こすことができる。光ファイバ中を伝搬させるだけで、波長の変化するソリトンパルス光や、スペクトル幅が1オクターブを越えるスーパーコンティニューム光(SC)と呼ばれる白色光を生成させることができる。これまでに我々は、パルス幅が100fs程度の超短パルスファイバレーザと光ファイバを組み合わせることで、波長1.3〜2.0μmの領域において波長可変な超短パルス光源や、波長1.55μmを中心として1000nmのスペクトル幅を持つSC光源の開発に成功してきた。しかし、波長1.0μm以下或いは、2.0μm以上での波長可変は実現されておらず、応用面からも広帯域化が望まれている。特に近年、光断層計測や光周波数標準への応用が提案され、広スペクトル帯域で低雑音な光源が強く望まれている。 本研究では、これら光ファイバを用いた新しい光源の広帯域化とその応用に取り組んだ。昨年度までは、超短パルス光の評価技術の開発とSC光の生成メカニズムの解析を行った。その結果、広帯域なスペクトルを得るためには光ファイバに入射する光パルスの狭窄化、高強度化が必要であることが分かった。本年度では、光源の広帯域化を進めるため、光パルスの圧縮技術の開発に取り組み、全光ファイバ型で最短の14fsのパルス光の生成に成功した。 作成した圧縮器は、3つの光ファイバを融着接続したハイブリッドファイバであり、各ファイバに機能を持たせることで効果的なパルス圧縮を行った。まず初段では、定偏波ファイバ(PMF)の異常分散を利用した高次ソリトン圧縮効果を用いることで、パルス幅を100fsから34fsまで圧縮した。次段の光ファイバでは非線形性が高く、分散を抑えた高非線形分散シフトファイバ(HNL-DSF)を利用することで、光パルスに非線形効果(自己位相変調)のみを与え、スペクトルの広帯域化を行った。最終段ではHNL-DSFで誘起された非線形チャープをレンズ(BK7)の異常分散特性を利用し、補償することでパルス圧縮を行った。各ファイバ長は数値計算を元に設計した。実験は周波数分解光ゲート法(FROG)を用いて評価した。最終的に得られたパルス幅は14fsであり、数値解析結果と良く一致した。ピークパワーは18kWであり、圧縮前に比べ5倍程度高めることに成功した。得られた光パルスを高非線形ファィバに入射することで広帯域なスペクトル光の生成が期待される。
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Research Products
(5 results)