2002 Fiscal Year Annual Research Report
完全水中での構造制御されたらせん高分子の合成と応用
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02J05704
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
尾之内 久成 名古屋大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ポリフェニルアセチレン誘導体 / 水中 / 誘起CD / 誘起らせん / アミノ酸 / キラル生体分子 |
Research Abstract |
代表的な高分子電解質である核酸のリン酸エステル残基に着目して設計したパラ位にホスホン酸モノエステル部位を有するフェニルアセチレン誘導体を合成し、水中での立体特異性重合を試みた。重合反応は、窒素下、脱気水中、水酸化ナトリウム存在下、水溶性のロジウム錯体を用いて30℃で24時間行った。重合は均一に進行し、エタノール不溶部として黄色い繊維状のポリマーが得られた。得られたナトリウム塩型のポリマーを1Nの塩酸水溶液で処理することにより酸型のポリマー(poly-1-H)に変換した。得られたポリマーの^1H NMRの測定を行ったところ、5.8ppm付近に主鎖のメチンプロトンに由来するシャープな吸収が観測されたことから、poly-1-Hはほぼ完全にシス-トランソイド構造を有しているがわかった。また、得られたポリマーの分子量は、poly-1-Hをメチルエステルに変換し、サイズ排除クロマトグラフィーにより約2万と求められた。 そして、グリシンを除く19種類の標準アミノ酸存在下、poly-1-Hの円二色性(CD)スペクトルを水中で測定したところ、poly-1-Hはすべての標準L-アミノ酸存在下、ポリマー主鎖の共役二重結合領域に誘起CDを発現した。これは、poly-1-Hが水中でもアミノ酸と相互作用して、一方向巻きのダイナミックならせん構造を形成可能であることを示している。さらに、poly-1-Hはアミノ酸だけでなく、オリゴペプチドやポリペプチド、アミノ糖や抗生物質、糖類など極めて広範囲の光学活性な生体分子のキラリティーに応答して誘起CDを示すことがわかった。また、抗生物質であるストレプトマイシンやバンコマイシンの検出限界をCDを検知器として用いて求めたところ、わずか数十ナノグラムでも十分検知可能な誘起CDが観測された。これらの結果より、poly-1-Hは様々の光学活性体の水中でのキラリティー検出のための高感度プローブとして有用であることが明らかになった。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Gopal Das, Hisanari Onouchi, Eiji Yashima, Naomi Sakai, Stefan Matile: "Binding of Organic Anions by Synthetic Supramolecular Metallopores With Internal Mg^<2+> -Aspartate Complexes"ChemBioChem. 3. 1089-1096 (2002)