2004 Fiscal Year Annual Research Report
完全水中での構造制御されたらせん高分子の合成と応用
Project/Area Number |
02J05704
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
尾之内 久成 名古屋大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ポリフェニルアセチレン誘導体 / 誘起らせん / 誘起円二色性 / 記憶 / エナンチオ選択的エステル化 / 保存 |
Research Abstract |
側鎖にホスホン酸モノエチルエステル部位を有するポリフェニルアセチレン誘導体(poly-1-H)は、様々の光学活性なアミン存在下、そのキラリティーに応答して一方向巻きのらせん構造を形成し、長波長領域に誘起円二色性(誘起CD)を示す。さらに、誘起された一方向巻きのらせん構造は、光学活性なアミンをエチレンジアミンのようなアキラルなジアミンで置換後も記憶として保持される。そこで、poly-1-Hの側鎖のホスホン酸モノエチルエステル部位がプロキラルであることに着目し、poly-1-Hに誘起された一方向巻きのらせん構造を不斉場とした側鎖のエナンチオ選択的エステル化を行い、生成する側鎖のリン-キラリティーにより主鎖のらせんキラリティーを半永久的に保存可能かどうかについて検討を行った。以下にその概要を示す。 光学活性なアミン((R)-2)存在下、らせん構造が誘起されたpoly-1-HのDMSO溶液に室温でCH_2N_2を加えることにより、側鎖のエステル化を行った。反応は均一に進行し、ほぼ定量的にメチルエステル化されたポリマー(poly-3)を得た。Poly-3のCDスペクトルをmethanol中で測定したところ、(R)-2を全く含まないにもかかわらず、長波長領域に明確な誘起CDが観測された。この結果より、側鎖のエステル化により生成した不斉なリン-キラリティーによってpoly-3が一方向巻きに片寄ったらせん構造を形成している、すなわち、誘起されたらせんキラリティーが保存可能であることが明らかになった。 また、らせん構造を記憶として保持したpoly-1-Hについても同様のエステル化を行ったところ、得られたポリマーは弱いながらも明確な誘起CDを示した。これは、poly-1-Hの主鎖に記憶されたらせんキラリティーのみでも、側鎖のエステル化がエナンチオ選択的に進行可能であることを示している。
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Research Products
(3 results)