2003 Fiscal Year Annual Research Report
〈大東亜共栄圏〉をめぐる〈日本〉文化の生成論的再考-戦時期日本映画を中心に-
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02J05982
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
鷲谷 花 筑波大学, 言語学系, 日本学術振興会特別研究員(PD)
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Keywords | 《映画戦》 / 《大東亜映画》 / 国民映画 / 国策 / アメリカニズム / モダニズム / 上海 / 都市 |
Research Abstract |
一次資料・二次資料調査と映画テクストの分析を通じて、戦時期日本映画のアジア進出の状況と、その際にいかなる戦略が採用されたかを考察した。戦時期日本映画は、交戦国としてのアメリカ合衆国を敵視しつつ、アメリカ映画を映画の規範として参照せざるを得なかったというアンヴィヴァレントを抱えており、また、中国・上海の都市文化に代表されるような、同時代のアジアの大衆文化を積極的に吸収・利用しようと試みつつ、完成された映画作品においては、《大東亜共栄圏》の指導者としての《日本》のプレザンスが優先的に強調されなければならないがために、かえって《日本》と《アジア》の間の断絶が顕在化してしまうという事態が、ほぼ不可避のものとしてあったといえる。以上のような考察を、Inter-Asia Cultural Studies. vol.4,no.3,April 2003に掲載の論文"The Opium War and the cinema wars : a Hollywood in the greater East Asian co-prosperity sphere"及び、日本映画史研究会(於明治学院大学、2003年7月22日)における口頭発表「《大東亜映画》と《映画戦》」において発表した。また、台湾・台北市の台北市立大学及び国立図書館台湾分館にて、《大東亜戦争》期の植民地・台湾における映画制作および、台湾ロケで製作された《大東亜映画》の製作状況・現地での反応等についての資料調査を行った。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] WASHITANI Hana: "The Opium War and the cinema wars: A Hollywood in the greater East Asian co-prosperity sphere"Inter-Asia Cultural Studies. vol.4,no.3. 63-76 (2003)
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[Publications] 鷲谷 花: "《大東亜映画》と《映画戦》"シネマどんどん. 第3号(掲載決定). (2004)