2003 Fiscal Year Annual Research Report
単一分子レベルでの光物性研究と新規機能性薄膜の創製
Project/Area Number |
02J06018
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
保田 諭 筑波大学, 物理工学系, 特別研究員(PD)
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Keywords | アゾベンゼン / 走査型トンネル顕微鏡(STM) / シス-トランス変化 / ドデカンチオール / 光スイッチ / 自己組織化単分子膜(SAM) / ナノスケール / フリップフロップ |
Research Abstract |
分子素子開発の観点から、単一分子特性を詳細に解析・理解することは必要不可欠であるが、さらに電気的制御等・特性の制御性を高めることも非常に重用な評題である。本研究では、単一光スイッチ実現とその制御の観点から、シス-トランス光相変化するアゾベンゼン分子に着目し、ドデカンチオール(C_<12>)単分子膜中に埋め込まれた化学修師・孤立アゾベンゼン分子の電気的制御を試みるとともに、単一の電気物性についてSTMを用いて詳細な解析を行った。以下に得られた結果を述べる。 C_<12>膜中に埋め込まれた孤立アゾベンゼン分子は、サンプルバイアスが+1Vの時、明るい輝点として観察される。一方、サンプルバイアスが-1Vでは、C_<12>膜のドメイン中に固定された分子には変化は観察されないが、エッチピット周辺など緩やかに固定された分子にのみ明白な変化が観察された。これらの結果から、印加電圧の極性によって分子構造変化が誘起され、単一分子レベルで構造変化に伴う整流性が発現することが明らかになった。さらに、詳細な電気物性を調べるため、孤立アゾベンゼン分子上で、電圧をスイープさせ、電流-電圧(I-V)特性の評価を行った。その結果、整流性を示さない分子上でのI-V特性は対照的なカーブを示すが、整流性を示す分子上では正バイアス領域で構造変化によるフリップフロップの電流変化が観察され、その動的寿命はバイアス電圧の大きさに依存することが確認された。以上、これらの結果は、局所的な電圧・電流の印加が分子物性に重要な影響を与えると同時に、外場に対する構造変化や応答性を制御できる可能性を初めて示したもので、ナノスケールでの光及び電圧によるスイッチング制御に必要不可欠な基礎的知見が得られた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] S.Yasuda, T.Nakamura, M.Matsumoto, H.Shigekawa: "Phase Switching of a Single Isomeric Molecule and Associated Characteristic Rectification"Journal of American Chemical Society. 125. 16430-16433 (2003)
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[Publications] S.Yasuda, H.Shigekawa: "Structures of Self-Assembled Monolayer of Squaraine Molecules Adsorbed on Highly Oriented Pyrolytic Graphite and Au(111) Substrates"Japanese Journal of Applied Physics. 42. 4901-4904 (2003)