2003 Fiscal Year Annual Research Report
ヌクレオチド脂質の合成とそれを用いた3-Dアーキテクトニクスに関する研究
Project/Area Number |
02J06164
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
岩浦 里愛 独立行政法人産業技術総合研究所, 界面ナノアーキテクトニクス研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | ヌクレオチド / 自己集合 / 双頭型脂質 |
Research Abstract |
本年度は、双頭型チミジル酸脂質自己集合体から形成される低分子系ハイドロゲルのDNAキャピラリーゲル電気泳動への応用を目的とし、予備実験を行った。 まず、各種バッファー、塩などが低分子系ハイドロゲルへ与える影響を調べるため、双頭型チミジル酸脂質を種々の塩や塩濃度中で形成させ、そのゲル化能、ゲルのミクロ構造を詳細に検討した。その結果、塩化ナトリウム濃度44mM程度では、双頭型チミジル酸脂質の自己集合体はハイドロゲルを形成せず、白色固体沈殿となった。この固体を光学顕微鏡により観察した結果、幅数ミクロン、長さ数百ミクロンのファイバーを形成していることがわかった。さらに、このマイクロファイバーを電子顕微鏡により観察した結果、幅数十ミクロンのナノファイバーが束となり、より巨大なマイクロファイバーとなっていることを見いだした。さらに塩濃度を高くすると、チミジル酸脂質の自己集合体は幅数百ロッド状となっていることがわかった。 種々の塩濃度の水中に双頭型チミジル酸脂質を分散させ、ゼータ電位測定を行った。その結果、塩濃度の増加にともなって、集合体表面のゼータ電位の絶対値が減少した。この事は、ナトリウムイオンの増加によって、リン酸アニオンの電荷が中和されていることを示す。また、FT-IRを測定した結果、塩濃度44mMの水中から得られる自己集合体では、リン酸ナトリウムに帰属できるピークが観察された。これらの結果から、塩化ナトリウム44mMの水溶液から得られるマイクロファイバーは、ナトリウムイオン添加による遮蔽効果によってリン酸アニオン間の電荷による反発が抑制され、ナノファイバーが凝集することによって形成したものと推察された。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Q.Ji, R.Iwaura, M.Kogiso, J.H.Jung, K.Yoshida, T.Shimizu: "Direct Sol-Gel Replication without Catalyst in an Aqueous Gel System : From a Lipid Nanotube with a Single Bilayer Wall to a Uniform Silica Hollow Cylinder with an Ultrathin Wall"Chemistry of Materials. 16. 250 (2004)