2002 Fiscal Year Annual Research Report
男女平等の判断基準-男女平等実現への有効性の検討-
Project/Area Number |
02J06178
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
宇井 美代子 筑波大学, 心理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 男女平等観 / 性役割態度 / フェミニズム |
Research Abstract |
現代日本では,男女雇用機会均等法の改正に代表されるように,男女平等実現への要請が高まっているが,フェミニズムの主張と,人々の日常の認識に不一致が見られるなど,男女平等に関する議論は混乱している. 人々の日常の認識において,男女の役割分担の仕方が男女平等か否かを判断する際にどのような基準が用いられているのかを,女子大学生を対象とした面接調査によって検討したところ,8つの判断基準を用いて,男女平等か否かが判断されていることが示唆された.この結果を,本年度に青年心理学研究において発表した.本年度はさらに,8つの判断基準のうち,2つの判断基準を重視する程度は個人に規定されるのに対して,他の6つの判断基準が重視される程度は男女平等を判断する場面に規定されるという女子大学生を対象とした質問紙調査から得られた知見を,論文化し投稿した.また,男女大学生を対象とした質問紙調査から得られていたデータを解析した結果,男女平等か否かを判断する場面が,職場などの公的領域・家庭という私的領域かによって,用いる判断基準が男女ともに異なることや,現代社会は平等なのか,それとも男女のいずれかが優遇されているのかを判断する際に,男女では,異なる判断基準が用いられていることも見出された.また,成人男女を対象とした質問紙調査から得られていたデータの解析を現在行っており,各判断基準を重視する程度の性差や世代差を検討している.これらの質問紙調査の結果の一部については学会発表を行い,男女大学生を対象とした質問紙調査については投稿の準備を行っている.また,二者の間で男女平等に対する考え方に不一致が見られる場合(すなわち用いる判断基準が異なる場合),どのように互いの意見を理解し,意見の相違を埋めていくのかを検討する討論実験を行うための予備実験を行った.本実験を行うためには,いくつかの点を再検討する必要性が示された.
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Research Products
(1 results)