2002 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子発現制御における転写因子GATA1ネットワークの解明
Project/Area Number |
02J06260
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
西川 恵三 筑波大学, 人間総合科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | GATA1 / ゼブラフィッシュ / GATA配列 / Self-association / アセチル化 / トランスジェック / GFP / 変異体 |
Research Abstract |
本年度の研究によって、以下の諸点を明らかにした。 1.内在性gata1を再現して発光するトランスジェニックゼブラフィッシュ系統(Tgと略)の初期胚で、GATA1を過剰発現すると異所性のGFP発現誘導が観察される。このGFP発現誘導を指標として、GATA1の機能ドメイン解析を行ったところ、6ヶ所のリジン残基をアラニンへ置換したGATA1(KA6と略)の過剰発現では顕著に発現誘導が低下することが明らかとなった。 2.KA6の6ヶ所のリジン残基のアセチル化の影響を見るために、ヒトp300精製タンパクを用いてアセチル化実験を行った。アセチル化は野生型GATA1(WTと略)とKA6共に起こり、両者の間でアセチル化の程度に有意な差は見られなかった。しかしながら、免疫沈降実験によって、GATA1-GATA1相互作用の検討を行ったところ、KA6の相互作用能はWTに比べて大きく低下することが明らかとなった。 3.内因性の組織におけるWTとKA6の機能の差異を検討するために、ゼブラフィッシュgata1変異体の機能回復実験を試みた。gata1遺伝子の制御領域によるWTの過剰発現の結果、gata1の下流遺伝子klfdあるいはurodの発現は回復した。一方、KA6の過剰発現では、WTのような発現回復は見られなかった。 4.gata1遺伝子の制御領域上のGATA1の標的配列を明らかにするために、様々な欠失及び点変異構築を用いて解析を行った。その結果、GATA1の過剰発現で観察されるGFP発現誘導には、翻訳開始点約6kb上流に存在する2つ並んだGATA配列の両方が重要であった。さらに、電気移動度遅延法でGATA1のDNA結合能を解析したところ、多量体化したGATA1は単独のGATA配列よりも2つ並んだGATA配列により結合しやすいことが明らかとなった。
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