2003 Fiscal Year Annual Research Report
両耳受聴音声を用いた音声強調とその応用に関する研究
Project/Area Number |
02J06340
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
村上 隆啓 明治大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員-DC1
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Keywords | 音声信号処理 / 音声強調 / マイクロフォンアレイ / スペクトル引き算 / 到来方向推定 |
Research Abstract |
私の研究テーマは「両耳受聴音声を用いた音声強調とその応用」です。平成15年度の研究では、2chマイクロフォン間における受信信号の差(差信号)を利用した音声強調に関する研究を中心に行ってきました。 本研究では、人間は聞きたい音の方向に顔を向けることから、正面方向から到来する音を目的音とし、それ以外の方向から到来する音を雑音として抑制する新しい音声強調アルゴリズムを提案しました。2chマイクロフォンで音声を受信したとき、正面方向から到来する音声は2つマイクロフォン間において振幅差や位相差がほとんどなく、一方、それ以外の方向から到来する音声では振幅差や位相差が生じます。そのため、2chマイクロフォン間における差信号は、正面方向から到来する音声の成分はほとんどなく、それ以外の方向から到来する雑音成分のみを含みます。提案法では、2つのマイクロフォン間隔がある程度接近しているという仮定のもとに、この差信号に線形な高域通過フィルタを適用することで雑音信号パワースペクトルを復元できることを示しました。そして、周波数領域において観測信号から復元された雑音信号パワースペクトルに利得をかけて減算することにより、正面方向から到来する音声を推定できることを示しました。雑音信号パワースペクトルにかける利得の決定法として、提案法では、観測信号から雑音信号パワースペクトルを減算して得られる推定信号パワースペクトルのノルムが最小となるような値を用いました。その結果、正面方向から到来する音声を効果的に取り出すことに成功しました。また、このアルゴリズムは計算量が非常に少なく、実時間処理に適しています。
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