2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J06349
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
板井 広明 中央大学, 経済研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | ベンサム / 功利主義 / 女性 |
Research Abstract |
本年度はベンサムが著作や草稿に断片的に示した女性の抑圧や解放に関する議論をまとめ、普通選挙権や結婚制度に関する民法上の規定の改革などをめぐる彼の女性論の特質とその権力論を再構成することを研究の主眼とした。女性の市場参加や雇用関係といった諸問題において、ベンサムは当時の社会的常識とは異なり、女性の解放を主張していたことを確認し、平行してベンサムの経済論の再構成をも行なった。 ベンサムの女性論において、当時の女性の置かれていた地位をめぐる諸言説をベンサムが批判的に検討するための理論的道具たる、「功利性の原理」や言語批判などを詳細に検討しておく必要があるので、2003年4月12日に、ポルトガルのリスボンで開かれた国際功利主義学会(International Society for Utilitarian Studies)において、"The Principle of Utility in Bentham's Utilitarianism"と題する報告を行なった。 学会の後、ロンドンUniversity Collegeのベンサムプロジェクトにおいて、ベンサム草稿の閲覧および議論を行ない、女性論と関連するベンサムの原理的な枠組みや、「安全」「生存」「豊富」「平等」という4つの目的を掲げるベンサムの分配論の構成についても平行して検討を行なった。 また1月14日にはUCLAのDavid Lieberman教授との意見交換、1月17日には2003年に"Imagning Interest"を出版したStephen Engemann教授を迎えての合評会でコメンテーターを務め、意見交換を行なった。 今年度は女性論の再構成が難航し、業績として十分なものになるには至らなかったが、ベンサムの経済思想を含めて、次年度において活字化する予定である。
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Research Products
(1 results)