2002 Fiscal Year Annual Research Report
液晶場における主鎖型高分子の特異な配向挙動と鎖状形態
Project/Area Number |
02J06390
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
長田 健介 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | スメクチック液晶 / 主鎖型液晶高分子 / Lamella / 動的粘弾性 / Chain Folding / X線回折測定 / 力学測定 / 力学緩和 |
Research Abstract |
主鎖型液晶高分子は液晶を発現するメソゲンと呼ばれる剛直なパートを柔軟なアルキレン鎖で連結した構造を有している。したがって液晶場における高分子鎖の鎖状形態は液晶性と高分子性との相関で決まってくると考えられるが、現在のところ明らかになってはいない。これまでの研究を通し我々はそれを折りたたみ鎖ラメラ構造であると考えている。しかしながら小角X線散乱測定からはラメラ構造をとらえることが出来なかった。そこで液晶場に外場変形を与えることにより引き起こされる構造変化を通して液晶場の鎖状形態をとらえようとしている。変形を与えるにあたり液晶場において高分子がどの様な運動性を有しているのかを明らかにする必要がある。そこで、液晶ガラス状態-液晶相にわたる広い温度範囲において動的粘弾性測定を行うことでスメクチックCA液晶を発現する主鎖型液晶高分子の運動性を見た。また、異なる配向を有した試料を作製することにより、高分子鎖方向(スメクチック層に対し垂直)と高分子鎖と垂直な方向(スメクチック層に平行)のそれぞれの運動モードをとらえることに成功した。その結果、ガラス状態では二つの方位の運動はカップリングしているが、ガラス転移温度以上ではデカップリングをおこし、スメクチック層に対し垂直方位の運動のほうが層に対し平行方向の運動より2〜3倍速い運動モードであることがわかった。さらに得られた粘弾性データをWLF式でフィッテングすることにより測定できない温度における運動の異方性も見積もることができた。これにより液晶ガラス状態、スメクチック液晶相における高分子の運動モードの異方性に関する知見を得た。
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