2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J06405
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
生駒 大洋 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 地球大気の起源 / 星雲ガス捕獲 / 衝突脱ガス / 水の起源 / マグマオーシャン |
Research Abstract |
本年度は,原始地球が捕獲する星雲ガスの量を調べた.当初の計画では,捕獲した星雲ガスの散逸(大気散逸)およびそれに伴う水蒸気の凝結を数値実験する予定であった.しかし,その大気散逸過程と水蒸気の凝結過程は初期大気量に大きく左右される.その初期大気量は,微惑星の集積率(固体集積率)や大気組成に依存する.その固体集積率さらに星雲ガス組成に関して,これまでの理解を修正する結果が惑星集積理論によって本年度えられた(Inaba, Wetherill, and Ikoma 2003, Icarus).その重要な点は,惑星形成過程において微惑星の衝突破壊によって大量の破片が生成されるという点だ.この新たな研究事実を受けて,(1)破片が受ける大気摩擦を考慮した固体集積率の再計算および(2)破片の蒸発に伴う大気組成の変化を考慮した星雲ガス捕獲率の再計算を行なった. 破片が受ける大気摩擦を考慮することよって固体集積率は高くなる(Inaba and Ikoma 2003,A&A).固体集積率の従来の計算では,原始地球表面に直接衝突する軌道にある微惑星のみが考慮されてきた.しかし,大気を持つ惑星の場合,直接は衝突する軌道にない微惑星でも,大気の摩擦によって捕獲される.微惑星や破片のサイズが小さいほど,その効率は大きい.我々の数値実験によると,典型的なサイズの破片は,原始地球半径の10倍以上のところを通過しても最終的には惑星に捕獲されることがわかった.つまり固体集積率が高くなり,結果として星雲ガスの捕獲率は減少することが分かった. 一方で,破片の蒸発に伴う大気組成の変化を考慮すれば,星雲ガスの捕獲率はかなり高くなる(Ikoma 2004,投稿中).大気中を通過する破片は蒸発する.その結果,大気の組成は,星雲ガスの組成に比べて,重元素に富んだ大気となる.重元素量が増加すると大気は収縮する.これは,主に分子量の増大による圧力の減少の効果だ.。その結果,星雲ガスの捕獲率が急激に増加する.この効果は,上の効果に勝り,結果的に,星雲ガスの捕獲量は従来の理解に比べて大幅に増加することが分かった.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Satoshi Inaba, Masahiro Ikoma: "Enhanced Collisional Growth of a Protoplanet That Has an Atmosphere"Astronomy & Astrophysics. 410. 711-723 (2003)
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[Publications] Satoshi Inaba, George W.Wetherill, Masahiro Ikoma: "Formation of Gas Giant Planets : Core Accretion Models with Fragmentation and Planetary Envelope"ICARUS. 166. 46-62 (2003)