2002 Fiscal Year Annual Research Report
大気圧非平衡パルスプラズマを用いたメタンから含酸素液体燃料の直接合成
Project/Area Number |
02J06418
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
角 茂 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | メタン / 非平衡プラズマ / アセチレン / 火花放電 / 発光スペクトル / CH回転温度 / 原子状炭素 / Hバルマー系列 |
Research Abstract |
上記研究課題を遂行するにあたり、エネルギー効率が高く、かつ反応選択性の高いプラズマ場を形成する必要がある。本研究において注目したのは、火花放電である。火花放電は、反応性が非常に高い熱プラズマであるアーク放電への過渡的状態であり、これをパルス幅1μS以下で制御してやることにより、非平衡プラズマの形成が可能となる。まず本研究において、直流高圧電源を作成し、パルス周波数50Hz、パルス幅500ns、パルス電流ピーク値20-30Aで安定に持続する火花放電場の形成に成功した。 この火花放電の反応特性を明らかにするため、メタンのみを供給した場合の反応特性を、非平衡プラズマの一種である、誘電体バリア放電、コロナ放電、火花放電の三種類で比較検討行った。その結果、火花放電は他の二種類の放電形式と比較して、非常に高い反応性と選択性を示した。反応性については、1Jの投入エネルギーで何μmolのメタンを転換できるかを示す、転換率(μmol/J)で評価した。転換率は誘電体バリア放電、コロナ放電では同等であり、0.2μmol/Jであったが、火花放電においては最高で2.1μmol/Jに達した。また、火花放電は反応選択性も非常に高く、反応条件によらず選択率90%程度でアセチレンが生成する。このときのアセチレン製造コストは12.1kWh/kg-C_2H_2であり、これは従来アセチレン合成プロセスとして工業化されているHuelsプロセスと同等である。 また、発光分光分析においても、三種類のプラズマ場に大きな違いが確認できた。誘電体バリア放電では、CHラジカルの回転スペクトルのみが非常に強く発光するのに対し、コロナ放電では、放電チャンネル内に析出する炭素による連続光がCH回転スペクトルの他に確認できた。一方火花放電においては、発光種が異なっており、H原子のBalmer系列と原子状炭素による発光が非常に強かった。このことからも、火花放電は非常に反応性が高く、また反応パスも他の方法とは異なり、メタンから炭素原子と水素原子に分解していることが明らかとなった。 最後に、火花放電の反応性の高さが電子衝突によるものか、ガス温度の上昇によるものかを明らかにするため、CH回転スペクトルより、放電チャンネル内のガス温度を見積もった。その結果、火花放電のガス温度は、他の方法と比較しても低く、メタン気流中では400-450K程度であることが明らかとなった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] S.Kado, K.Urasaki, H.Nakagawa, K.Miura, Y.Sekine: "Methane Coupling and Reforming using Non-equilibrium Pulsed Discharge at Room Temperature-Catalyst-Pulsed Discharge Combined System"Am.Chem.Soc., Div.Fuel Chem.. (In print).
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[Publications] S.Kado, K.Urasaki, Y.Sekine, K.Fujimoto: "Direct Conversion of Methane to Acetylene or Syngas at Room Temperature using Non-equilibrium Pulsed Discharge"Fule. (In print).
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[Publications] S.Kado, K.Urasaki, Y.Sekine, K.Fujimoto: "Direct Conversion of Methane using Non-equilibrium Pulsed Discharge with and without Catalysts"Them.Sci.Eng.. 11(2)(In print). (2003)