2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J06423
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
稲葉 知士 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 国際研究者交流 / 惑星形成 / 巨大惑星 |
Research Abstract |
特別研究員の採用申請時に提出した研究計画書の通り、巨大惑星形成の理論的研究をカーネギー研究所のWetherill氏と東工大の生駒氏と行った。巨大惑星形成における最大の問題は形成にかかる時間である。巨大惑星が纏っている大量のガスを説明するために、巨大惑星はガスのもとである原始惑星円盤の存在期間内(観測から数百万年と推定されている)に形成されなければならない。しかし、現在までの理論的研究ではそのような短い時間で巨大惑星を形成するのは不可能であった。そこで、我々は見失った素過程がないか検討し、重要な素過程を発見した。最も広く受け入れられている巨大惑星形成のシナリオでは、ある程度大きくなった固体コア(約10倍の地球質量)が、大気として原始惑星円盤からガスを吸着して巨大惑星が形成される。これまで固体コアの形成とガスの吸着は別々に研究されていて、両方が絡んだステージを考える研究は僅かしかない。しかも、僅かある研究は非常に狭いパラメータ範囲においてしか通用しないので、実際の巨大惑星形成の問題に応用するのは難しい。しかし、この固体コアの成長とガスの吸着の絡んだステージは非常に重要である。大気に入射してきた微惑星は直接固体コアに衝突せずに、大気から受けるガス抵抗で捕獲され、固体コアの成長を促進する。一方、成長した固体コアはより厚い大気を纏い、微惑星の捕獲を一層容易にする。例を挙げると、1地球質量程度の固体コアが持つ大気はコア半径の100倍大きい半径を持つ。それゆえ、ガス抵抗で容易に捕獲されるダストのような粒子としては、コアの幾何断面積が10000倍になったようなものである。これにより巨大惑星形成の時間が大幅に短縮されると期待される。今年度はこの素過程についての論文をAstronomy and Astrophysicsに投稿をした。来年度は得られた素過程を使って巨大惑星形成時間の問題にチャレンジする予定である。
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