2004 Fiscal Year Annual Research Report
極低温高磁場走査トンネル分光顕微鏡法による異方的超伝導体の研究
Project/Area Number |
02J06460
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
松葉 健 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 高温超伝導体 / 渦糸 / STM / STS |
Research Abstract |
本年度は、極低温高磁場走査トンネル顕微鏡(LTHM-STM)を製作し、本装置を用いてBi_2Sr_2CaCu_2O_x(Bi2212)の渦糸芯を研究した。以下にその内容を記す。 1 LTHM-STMの製作 今年度は、昨年度までに製作したSTM(試作機)を発展させ、測定用のSTM装置を製作した。本装置は試作機と同じ粗動機構を採用した結果、極めて高い安定度をもつに至った。そのため、高精度かつ高空間分解能な走査トンネル分光測定が可能となった。測定精度および分解能は世界的に見てもトップレベルにある。加えて最低到達温度は4.2K、最高到達磁場は15Tであり、広い温度磁場領域において動作することができる。 申請時の計画では、希釈冷却器温度(30mK)まで冷却可能な装置を製作する予定であったが、時間的および金銭的な制約からこれは実現出来なかった。この点に関してはこの場を借りてお詫びする。現在は、1K以下において同程度の安定度をもつSTMを実現すべく、^3Heクライオスタットの製作の計画を進めている。 2 走査トンネル分光法によるBi2212の渦糸芯研究 Bi2212の渦糸芯内部では、準粒子の状態密度が空間的に変調しておりチェス盤状の模様を形成することが一部のグループから報告されている。しかしながら、報告例が限られているため、その詳細はよくわかっていない。変調構造の周期は約1.5nmと短いため、これを観察するには高精度かつ高空間分解能な走査トンネル分光測定を行うことが要求される。我々は新たに製作したSTMを用いこの構造の測定を試みた。その結果、変調構造をもつ渦糸芯を観測することに成功した。今後、Bi2212の渦糸芯についてさらに研究を進め、発表を行う予定である。
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