2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J06467
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
野村 新一 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | エネルギー輸送・貯蔵 / 超伝導磁気エネルギー貯蔵 / 超伝導コイル / 電磁力 / ヘリカルコイル / 周波数変換所 |
Research Abstract |
昨年度は、最適なヘリカル巻数を選定することで発生応力の最小化が可能となる電磁力平衡コイルの概念の実証に成功した。そこで、平成15年度は、実証実験結果を踏まえ、応力を最小化した電磁力平衡コイルの強磁界コイルとしての有効性を実証するために、次期実験コイルの設計を行った。設計したコイルは、最大磁束密度7T、外直径50cm、総巻数10800ターンのNbTi/Cu複合超電導線材を用いた手巻きコイルである。NbTi線の臨界特性を狙うため、4.2K、7Tにおける線材の臨界電流値570Aに対して、実験コイルの最大電流値を535Aに定めた。超電導線に生じる最大応力を見積もった結果、同一規模のトロイダル磁界コイルやソレノイドでは、NbTi線の安定化材である銅の許容応力を超えてしまうのに対し、実験コイルは、銅の許容応力以下に低減可能となり、NbTi/Cu複合線材にステンレスなどの補強材を用いずに7Tを発生でき、電磁力支持材による巻線部電流密度の低下防止や冷却負荷の低減化が期待できることがわかった。すなわち、電磁力平衡コイルは、強磁界化によって超電導磁気エネルギー貯蔵(SMES)装置の小型化を実現し、電磁力支持材の必要量の低減化が期待できるコイル方式であるとの知見が得られた。 また、電磁力平衡コイルを用いたSMES装置として、50/60Hz周波数変換所に適用した場合について検討した。これは、周波数変換所に設置されている直流リアクトルを超電導コイルに置き換え、交直変換器をSMES装置の電源として用いる方式であり、最適な貯蔵容量と変換器容量に関する検討を進めている。 本年度の研究成果は、マグネット技術に関する国際会議および電力技術に関する研究会で報告を行い、SMES研究に従事する研究者より関心を得られている。なお、国際会議での発表論文は超電導応用に関する学術雑誌に掲載される予定である
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