2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J06467
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
野村 新一 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | エネルギー輸送・貯蔵 / 超電導磁気エネルギー貯蔵 / 超電導コイル / 電磁力 / ヘリカルコイル / 系統連係 / 周波数変換所 / 負荷平準化 |
Research Abstract |
平成16年度は、電磁力平衡コイルを用いた超電導磁気エネルギー貯蔵(SMES)装置の応用として、周波数変換所などの系統連系設備にSMES装置を適用する検討を行った。本研究では、連系設備の交直変換器の直流側には超電導コイルを、交流側には連系する系統の選択が可能な切り替えスイッチを設置する方式を検討した。その結果、電力設備の稼働率と緊急融通時の信頼性が向上し、電力の需給状況に応じた貯蔵と輸送の切り替え運用と系統間の時間的格差をつけた連系運用が可能となることを示した。また、この概念をウインドファームに適用した場合、風力発電設備の出力変動平準化も可能であることを示した。 SMES付き系統連系設備として600 MWh級SMES用超電導コイルの概略設計を行った。本研究では、輸送可能な大きさの貯蔵エネルギー150 kWhを有する外直径4mの超電導コイルを4000個設置することで量産効果によるコスト低減化と開発リスク軽減化を実現する構成を提示した。また、電磁力平衡コイルを適用することで、電磁力支持材必要量をソレノイドの40%程度まで低減でき、超電導コイルの軽量化が期待できることを示した。 一方、電磁力平衡コイルの強磁界コイルとしての有効性を実証するために、上述した150 kWh級コイルの1/8規模に相当する最大磁束密度7 TのNbTi線を用いた電磁力平衡コイルを設計し、5軸のNC旋盤によるコイル巻枠の製作を進めてきた。電磁力平衡コイルは、応力最小化効果により、超電導線への補強材を用いずに製作できる範囲を同一規模のトロイダル磁界コイルやソレノイドに比べ大幅に拡大可能となる。 以上、本研究で得られた成果は、SMES用超電導コイルの電磁力による発生応力低減化の課題に対する技術的な解決策を与え、揚水代替規模相当の大容量SMES装置の実現性に対し重要な知見を与えるものであり、国内外の学会で報告された。
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