2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J06473
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
山本 元 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ポスト冷戦 / 脅威認識 / 階層ゲームモデル / 核技術流出 |
Research Abstract |
1、冷戦終結後の国際安全保障体制は「米国の覇権システム」と抽象化されてきたわけだが、冷戦終結後においても非覇権国が影響力行使を可能性する戦略状況が存在していた。それは、冷戦期に蓄積された核兵器とその技術を非政府主体へ提供する非覇権国の能力であった。この能力に対し、クリントン政権は旧覇権国のロシアの逸脱的行動さえ制御すればよいと考えたが、ブッシュ政権は中国のような核関連技術が未発達な国家からの兵器(技術)流出を重視した。つまり、冷戦期においては、米国政府の脅威認識は核兵器の保有量を基準とするという形で一定であったが、冷戦終結後は、政権の認識方法に依存していることが分かった。つまり、冷戦終結後の大国間ゲームは一様ではなく、米国政権単位の脅威認識の特徴を反映させなくてはならない。つまり、冷戦終結前後の国際政治システムの差異は、国家の脅威認識の自由度の差異に求めることも出来ることが分かった。 2、階層ゲームモデルのように、国際経済、地域経済、及び国内経済を想定した数理モデル分析が充実している経済学の理論サーベイを行った。その結果、固有の利得構造を有するゲームを相互作用させるモデル分析は存在しなかった。経済学では、国際経済システムの様態は下位ゲームの社会的帰結と位置づけられていた。したがって、GATT体制からWTO体制への移行や、各国の経済力の付置状況の変化といった、国際経済システム固有の特性は定式化の射程から排除されていた。但し、ごく最近、国際制度の反事実的仮定を設けて、地域経済次元でのゲームの帰結を比較静学的に分析する研究もみられるようになった。
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Research Products
(1 results)