2003 Fiscal Year Annual Research Report
光共振器を用いたレーザー分光計によるキラル物性の高感度高分解能検出
Project/Area Number |
02J06500
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
石橋 爾子 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員 PD
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Keywords | レーザー分光 / 光共振器 / 高分解能分光 |
Research Abstract |
本年度前半は、研究に必要な実験技術を習得するため、コロラド大学(JILA, University of Colorado, USA)において実験を行い(2003年5月6日〜2004年11月27日)、下記の成果を得た。また、この研修を生かして、東京工業大学において新たな実験装置の作成を行った。 1.高フィネス光共振器を用いたレーザー光周波数安定化の実験を、昨年度にひきつづき行った。フィネス18,000の光共振器を真空チェンバー内に設置し、この光共振器の共振周波数にレーザー周波数を安定化した。振動雑音の光共振器への影響を防ぐため・振り子状の除振装置を作成し、従来より10倍高い安定度を得た。また、真空チェンバーの温度制御装置を改良し、20mK/dayの低ドリフトを実現した。これにより、レザー周波数のドリフトをmHz/secという低い値に抑えることに成功した。今後はこの実験装置を用いて光速度を長期間精密測定し、相対性理論や物理基礎定数変化の測定など理論物理の実験的検証を目指す。 2.光領域の小型周波数標準として、波長1030nmの全固体Yb : YAGレーザーをヨウ素分子の吸収線に安定化する方法が有力である。しかしYb : YAGレーザーは技術的に未熟な面が多く、周波数標準として用いるためにはまずレーザーパワーを安定化する必要があることが判明した。そこで、Yb : YAGレーザーの励起用半導体レーザーにフィードバックを加えてレーザーの出力強度の安定化を行った。高速フィードバック装置を作成することにより、周波数2MHzまでの強度を-40dB減少させることができた。 3.帰国後、東京工業大学において、新しい分子分光装置の作成を行った。半導体レーザーと光コムジェネレーター、および光共振器を用いて、高感度、高分解能、広帯域という分子分光において重要な性能をすべて満たす新しい分光装置の作成を目指している。
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