2003 Fiscal Year Annual Research Report
新北上川下流部及び追波湾における懸濁物質の挙動と水産資源への影響について
Project/Area Number |
02J06553
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
工藤 健太郎 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 感潮域 / 塩水流動 / 懸濁物質 / リモートセンシング / 数値シミュレーション |
Research Abstract |
1.塩水流動シミュレーション 河川感潮域などを対象として水塊の運動や物質輸送を計算する場合には、自由水面の形状変化を考慮して計算モデルを構築しなければならない。そこで本研究では、移動境界問題に対する新しいアプローチとして、通常の境界条件に相当する計算条件を計算領域の内部で与える計算原理を考案し、この計算条件を「内部境界条件」と名付けた。そして、「内部境界条件」を用いることにより、水塊の形状変化が生じても計算領域や格子点配置を変更しないですむ数値計算手法を構成した。本研究では、同手法の基礎的検討として、まず一様斜面の遡上波に対して適用し、理論解と比較することでその妥当性を示した。次に自由水面を持つ鉛直二次元非粘性流に対して定式化を行い、既往の計算スキームとの比較によりその妥当性を検討した。最後に、鉛直二次元のモデルを拡張して、実際の河川における塩水遡上現象の再現を試み、良好な結果を得た。 2.追波湾における観測および衛星画像解析による表層塩分濃度の推定 新北上川が流入する追波湾において、出水時の河川流出水の挙動を現地観測と衛星画像解析により面的に推定した。現地観測では、新たに開発された浮体型曳航器により湾内表層の塩分・水温・濁度を連続的に計測した。その結果、観測日毎の濁度と塩分の間に直線関係が見出された。この事実は追波湾内の水質が「濁った淡水」と「清澄な海水」の単純混合により形成されていることを示唆している。つぎに、濁度との相関が高いと言われるランドサット7号バンド2データについて、基準点の輝度値を相互比較して各シーンの基準化を行った。続いて現地観測で得られた表層濁度との比較から、基準化した輝度値と濁度との間に一価の関係があることが分かった。この関係と、現地観測で得られた塩分・濁度関係を組み合わせることにより、追波湾全域の低塩分水塊の平面分布を推定できた。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] 工藤健太郎, 早坂裕幸, 石川忠晴: "新旧北上川感潮域における低水時流量配分変更に関する基礎的検討"環境アセスメント学会2003年度研究発表会要旨集. 143-148 (2003)
-
[Publications] 石川忠晴, 工藤健太郎, 中村恭志, 苅籠泰彦: "CIP法とFEMの組み合わせによる遡上波の新計算法に関する基礎的検討"海岸工学論文集. 第50巻. 136-140 (2003)
-
[Publications] 工藤健太郎, 石川忠晴, 中村恭志: "境界条件を計算領域内部に設定する流体運動計算手法の開発"水工学論文集. 第48巻. 691-696 (2004)
-
[Publications] 中山恵介, 工藤健太郎, 石川忠晴: "固定グリッドにおいて遡上波を追跡する計算手法の開発"水工学論文集. 第48巻. 697-702 (2004)
-
[Publications] 石川忠晴, 工藤健太郎, 坂井洋平, 入江光輝, 李〓錫, 田中總太郎: "北上川融雪出水による追波湾の低塩分化について"水工学論文集. 第48巻. 1225-1230 (2004)