2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J06591
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 照 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | B細胞 / 抗体遺伝子再構成 / Pax-5 / プレB細胞 / accessibility |
Research Abstract |
抗体遺伝子再構成は自然界に存在する様々な抗原に反応するために、B細胞分化にとって最も重要なイベントである。この仕組みは利根川博士の功績以来、in vitroの段階ではかなりの部分まで明らかにされたが、細胞内における制御はほとんど明らかにされてはいない。最近、我々はPax-5欠損プレB細胞においてμ鎖やRagの発現がみられるが、in vitro分化系を用いて分化誘導を行ってもκ鎖再構成を誘導することができないことを見い出した。このことはPax-5がκ鎖再構成への関与を示唆するものであるが、そのメカニズムの解明には至っていなかった。そこでまず、Pax-5欠損プレB細胞がκ鎖再構成を誘導できない原因を調べてみると、Jκ領域のaccessibilityが低下しているためであると考えられた。さらに、この仮説を検証するためにκ sterile transcriptの発現と抗ヒストンアセチル化抗体を用いたクロマチン免疫沈降法によってJκ領域のヒストンアセチル化を詳細に調べた。その結果、Pax-5欠損プレB細胞ではκ sterile transcriptの発現が全く検出されないこと、そして抗ヒストンアセチル化抗体の免疫沈降物にはJκ領域のDNAがほとんど含まれていなかったことからJκ領域のアセチル化の低下していることが判った。このことはPax-5欠損プレB細胞においてκ鎖領域のaccessibilityが低下していることを示唆している。また、この、accessibilityの回復にはPax-5のC末端に存在する転写活性化ドメインが必須であった。以上の結果より、Pax-5はκ鎖再構成のイニシエーターとして機能していることが考えられる。今後はPax-5によって誘導される新規標的遺伝子を解析することでκ鎖再構成の制御機構の解明に繋がるものと期待している。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 加藤いぶき, 佐藤 照, 工藤 明: "TRANCE together with IL-7 induces preB cells to proliferate"European Journal of Immunology. 33. 334-341 (2003)
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[Publications] 佐藤 照, 工藤 明: "臨床免疫"科学評論社. 6 (2002)
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[Publications] 佐藤 照, 工藤 明: "医学のあゆみ"医歯薬出版株式会社. 2 (2002)