2003 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属酸化物における等価数イオン置換効果と強相関電子機能の制御
Project/Area Number |
02J06635
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
安川 雪子 東京工業大学, 総合理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 強相関電子系 / Bサイトオーダーダブルペロブスカイト / 等価数元素置換効果 / メスバウアー分光法 / ハーフメタル / 混合原子価 / 多変量解析 |
Research Abstract |
本研究では、ダブルペロブスカイト酸化物において、元素置換による強相関電子の制御と新機能の創製を目的とした。以下に得られた主な研究成果を列挙する。 1.ハーフメタル酸化物A_2FeMoO_6におけるメスバウアー分光 上記物質におけるハーフメタル電子状態とFeの原子価状態の関係を調べるため、等価数元素置換を施したA_2FeMoO_6(A=Ba, Sr, Ca)におけるメスバウアー分光測定を行った。酸素欠損を持たず、かつFeとMoサイト間の長距離秩序度及び粒径がほぼ一定である高品質試料を酸素源同時封入法により作製した。一連の試料におけるメスバウアー分光測定より、(1)Feの原子価状態(混合原子価状態)がAサイトの平均イオン半径r(A^<2+>)により変化すること、(2)Ba→Srの固溶領域ではr(A^<2+>)が小さくなるに従いアイソマーシフトIが単調に低下するが、Sr→Caの固溶領域ではIの値がほぼ一定となることが分かった。 2.ダブルペロブスカイト酸化物における新機能創製のための多変量解析 ダブルペロブスカイト酸化物について多変量解析を行い、電磁気特性と結晶構造の相関関係を調べた。様々なダブルペロブスカイト酸化物に関する150編の論文から結晶構造・磁性・導電性などの実験データを抽出し、多変量統計プログラム"Simca"を用いて解析した。その結果、本物質群では遷移金属元素の価数状態(bond valence sumにより計算)と磁性に相関関係が見られ、その磁気相転移温度が予言可能であることが分かった。
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