2002 Fiscal Year Annual Research Report
F_oF_1-ATP合成酵素のF_oモニターの1分子回転解析
Project/Area Number |
02J06699
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
上野 博史 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | ATP合成酵素 / 1分子解析 / 分子モニター |
Research Abstract |
本年度は、F_oF_1-ATP合成酵素の精製法の最適化・1分子回転観察系の条件検討を行った。具体的には、以下のような実験を行った。 F_oF_1の1分子回転観察のためには、まずこの酵素を膜から可溶化し、完全に単離・精製する必要がある。酵素の可溶化は、ただ可溶化すればいいのではなく、その後に従来の活性や性質を保つことが重要である。そのために、種々の界面活性剤を用いて酵素を膜から可溶化し、最適な可溶化剤の選定を行った。さらに、Ni-NTAカラムによる精製の条件検討も行った。その後、この単離された酵素を用いて、ATP加水分解活性の測定など、生化学的な手法により本酵素の性質決定を行った。その結果、ATP合成酵素の特異的阻害剤であるDCCD感受性の高い、高品質の酵素の単離・精製に成功した。さらに、この酵素を大豆のリン脂質からなるリポソームに再構成する方法を検討し、大腸菌の膜画分上での活性以上のプロトン輸送活性を持つATP合成酵素の再構成膜の再構成法を確立した。 そして、この酵素を用いて1分子回転観察系の最適化を行った。具体的には、ガラス基盤やプローブの処理方法、固定化や回転観察時のバッファー条件の検討を行い、比較的高頻度でコンスタントに回転分子が観察される条件を確立した。そして現在、この酵素を材料に光学顕微鏡を用いて様々な条件で1分子観察を行っており、そのデータの採取中である。また、最近になり従来行ってきた高付加のプローブ(0.5-1.0μm)を用いたビデオレート取り込みによる解析に加えて、低付加のプローブ(0.1μm)を用いて、粘性抵抗による回転速度の低下を考慮しなくていい条件での高速度カメラを用いた観察系の確立を行った。現在、この条件でのデータも採取中である。
|