2003 Fiscal Year Annual Research Report
F_oF_1-ATP合成酵素のF_oモニターの1分子回転解析
Project/Area Number |
02J06699
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
上野 博史 東京工業大学, 資源化学研究所, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ATP合成酵素 / 1分子解析 / 分子モーター |
Research Abstract |
本年度は、ATP合成酵素のH^+輸送に関わる残基の変異体作成と低負荷でのF_oF_1-ATP合成酵素の回転解析を行った。具体的には、以下のような実験を行った。 まず、本酵素のH^+輸送に関わる重要な残基(c subunitの56番目)の変異体を作製した。作製は、変異導入プライマーDNA、各種制限酵素を用いてメガプライマー法にて行った。この変異体酵素のプラスミドを大腸菌に導入・発現させた。その結果、野生型と同等の発現が見られた。さらに、この変異体酵素を発現した菌体から反転膜を調整し、そのH^+輸送活性三とATP加水分解活性を測定した。その結果、H^+輸送能が野生型の1割程度に落ちた変異体の作製に成功した。また、この変異体酵素はH^+輸送能と共に、ATP加水分解活性も野生型に比べて半分程度に低下していることも分かった。ATP加水分解活性が低下しているということは、回転に何かの影響を及ぼしていることが推察される。現在、この変異体の解析を進めている。 低負荷での回転解析には、現在二つの手法を用いて行っている。1つは、100nm程度のポリスチレンビーズ、もう1つは80nmの金コロイドを用いて行った。当初、2001年のnature誌で安田らが用いた方法で金コロイドを作製し、低負荷実験を行っていたが、こちらの行なっている実験条件ではうまく回転が観察されなかった。そこで、金コロイド程ではないが、高速での取り込みができる100nmのポリスチレンビーズを用いて回転観察を行った。その結果、F_oF_1ATP合成酵素でもF_1-ATPaseに匹敵する高速回転が観察された。これは、現在の条件では、H^+輸送が律速になっていないことを示している。また、最近になり独自の方法で金コロイドを作成し、回転を観察することに成功したのでこのデータも現在採取中である。
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