2002 Fiscal Year Annual Research Report
液晶性アゾベンゼン高分子エラストマーによる光表面レリーフ形成とその硬化
Project/Area Number |
02J06766
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
是津 信行 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | アゾベンゼン / 液晶性高分子 / 感光性高分子 / 微細加工 / ホログラム / 物質移動 / 薄膜 |
Research Abstract |
これまでに申請者らは、前露光と液晶性高分子エラストマーとを組み合わせたシステムを駆使することによって、従来の光誘起表面レリーフ形成(以後、PSR)に関する研究で扱われてきた材料系と比較して、千分の1程度の露光量でレリーフパターンが形成できることを見出している。 そこで本年度(平成14年)では、千倍にもおよぶ高感度化に関わる因子を明らかにすることを目的とし、高感度PSRの偏光特性について詳細に検討し、光物理化学的手法により物質移動機構を明らかにすることを試みた。また、高分子の主鎖骨格を系統的に変化させ、高分子主鎖の運動性と物質移動速度の相関性について、合成化学的手法による検討もあわせておこなった。 購入したレーザ用光学基本機器を用いることにより、青色レーザ光の偏光状態を精密に制御することによって、多様な干渉条件で高感度PSRについて検討が可能となった。結果として、光強度の空間分布が生じるような条件(強度ホログラム)においてのみ、偏光状態に依存することなく高感度に物質移動が誘起されることがわかった。さらに、購入した水銀キセノンランプとクロム蒸着マスクを用いたパターニング露光によっても高感度に物質移動が誘起されることが確認された。これは、インコヒーレントな光において物質移動が誘起された初めての例である。 高分子の主鎖骨格のみを系統的に変化させた、数種類の液晶性アゾベンゼン高分子エラストマーを合成し、高分子主鎖の運動性と物質移動速度の相関性について検討したところ、高分子のガラス転移温度(Tg)が低い材料ほど高速に移動することがわかった。Tgの高低は高分子主鎖の運動性を定性的に評価できると考えられ、高分子主鎖の運動性と物質移動速度の相関性を実験的に証明した初めての例である。
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