2004 Fiscal Year Annual Research Report
言語態分析による近代日本の考察-戦争期の言説をめぐる差別と文学
Project/Area Number |
02J06843
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
内藤 千珠子 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 近代日本 / メディア / 文学 / 戦争 / 言語形態分析 / 差別 / 日本語 / 言説 |
Research Abstract |
本研究は、言語態分析を行うことにより、差別という事象を通して言語の文学性について検討し、言葉と差別の問題にアプローチするとともに、近代日本のありようについて新たな視座から考察することを目的としている。 今年度は、台湾大学に赴き、戦争期の出版物に関連する資料調査を行った。さらに、収集した資料のデータベース化を進めた。 また、昨年度に引き続き、第一次世界大戦期や第二次世界大戦期の日本語一次資料を収集する作業を継続的に行った。文学的言語、新聞・雑誌等のメディア言語、法的言語、学問的言語(人類学・民族学・民俗学・歴史学・教育学等)、衛生学・医学的言語、外交文書など、さまざまな言語態に属する資料を、国内の図書館等の機関を利用して集め、分析作業を進めるのと並行して、それらの資料をデータベース化につとめた。 昨年度までに収集した日清・日露戦争期から第一次世界大戦期にかけての一次資料に基づいて、論文「香らせる肌の虚構-広告メディアの女性表象と管野須賀子」や「『春は馬車に乗つて』-病と女性身体の表象」を執筆した。 また、差別研究に関する理論的文献の購入・収集・整理を行い、ジェンダーやセクシュアリティをめぐる問題系と人種や病の表象の関係を軸に、論文「裏返しの曖昧-鹿島田真希『白バラ四姉妹殺人事件』」、「輪転する眠り-『変身のためのオピウム』」「ほころびる秘密-角田光代『空中庭園』の世界」「殴る女たちの祈り-阿部和重『グランド・フィナーレ』」を執筆した。
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Research Products
(6 results)