2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J06873
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩田 淳 東京大学, 医学部附属病院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 多系統萎縮症 / α-シヌクレイン / トランスジェニックマウス |
Research Abstract |
多系統萎縮症モデルマウスの作成 マウス、ミエリン塩基性タンパク質プロモーター下流にヒト野生型α-シヌクレインを接続した遺伝子コンストラクトを導入したトランスジェニックマウスを作成した。導入方法としては、Slc:BDF1(♂)とSlc:BDF1(♀)との交配により得られた受精卵にトランスジーンを導入し、偽妊娠:ICRマウスの卵管に移植した。計280の受精卵中9匹のトランスジーンを有するマウスを得た。これらとC57BL/6とバッククロスすることによって遺伝的背景の均一化を図った。導入遺伝子の確認法としては、PCR法で行い、最終的には脳ホモジネートのウェスタンプロット法によって行った。第5世代目より本格的な解析を開始した。 これらのマウスで目的タンパク質の発現を免疫組織学的方法およびウエスタンブロット法によって行い、病理学的検討を通常染色法、免疫組織学的方法によって行った。その結果、3系統のマウスにおいて乏突起神経膠細胞内でα-シヌクレインの高発現を認めた。これらの系統のマウスでは、ミエリン塩基性蛋白プロモーターの活性化に伴って生後6-8週間の時期において発現が最大となったがその後は発現が漸減した。しかしながら一つの系統においては、発現は減少したものの生後40週齢まで一定の量が白質全体に見られ、また生後90週齢でもある程度の乏突起神経膠細胞において発現を認めた。これらのマウスにおいて表現型の検討を行ったところ、フットプリント法において歩幅の有意な減少を生後40週齢より確認した。この歩幅の減少は生後90週齢まで持続した。また、生後81週目の解析でロータロッド法においても有意な差を正常兄弟マウスとの比較で認めた。さらに、同時期においてオープンフィールド法では行動量の減少を認め、この傾向はα-シヌクレインの発現量と一致したため、乏突起神経膠細胞内のα-シヌクレインの過常発現によって神経細胞機能に何らかの異常を来していると考えられた。 今後さらに解析を進める予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 岩田淳, 丸山美枝子, 貫名信行: "α-シヌクレインによる神経細胞死 1"Clinical Neuroscience. 第21巻1号. 6-7 (2003)
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[Publications] 岩田淳, 丸山美枝子, 貫名信行: "α-シヌクレインによる神経細胞死 2"Clinical Neuroscience. 第21巻2号. 126-127 (2003)