2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J06873
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩田 淳 東京大学, 医学部附属病院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 多系統萎縮症 / αシヌクレイン / トランスジェニックマウス / ニューロシン / 蛋白分解 |
Research Abstract |
αシヌクレイン分解酵素ニューロシンの同定 乏突起神経膠細胞内への不溶性αシヌクレインの蓄積は多系統萎縮症の病理学的特徴である。我々は、前年度までにαシヌクレインを人為的に高発現させたトランスジェニックマウスを作製し、それらが乏突起神経膠細胞内でのαシヌクレインの蓄積と平行して次第に運動異常をきたすことを発見した。すなわちこれは、αシヌクレインの乏突起神経膠細胞内への蓄積自体が疾患の原因である可能性を示唆していると考えられた。すなわち、このプロセスを特異的に阻害することができれば治療法につながると考えられた。今年度は、この観点からαシヌクレインを特異的に分解する酵素の同定を試みた。精製源としては細胞の溶解液を使用し、遺伝子組みかえにより作製したヒトαシヌクレインと反応させることにより、その分解能の強い分画を精製することによってセリンプロテアーゼであるニューロシンを同定した。くわしい分析により、ニューロシンは通常細胞内ミトコンドリアに多く存在すると考えられ、様々なストレスに応じて細胞質内に放出され、αシヌクレインを分解することを確認した。さらに、ニューロシンのαシヌクレイン分解能は、パーキンソン病の原因と考えられているA53T変異体について低く、多系統萎縮症のみならずパーキンソン病においても疾患の発症にかかわっている可能性が示唆された。さらに、疾患とのかがわりを検討するため、多系統萎縮症、及びパーキンソン病のαシヌクレイン封入体glial cytoplasmic inclusion及びLewy bodyについてニューロシンに対する抗体で染色したところ、これらの封入体はニューロシン陽性であり、疾患発症との関わりが示唆された。
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Research Products
(1 results)